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文献詳細

雑誌文献

総合診療29巻11号

2019年11月発行

文献概要

What's your diagnosis?[203]

EOMにEOS?

著者: 吉田常恭1 酒見英太2

所属機関: 1京都大学医学部附属病院 2洛和会音羽病院

ページ範囲:P.1303 - P.1308

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病歴
主訴:複視、呼吸困難
現病歴:タクシー運転手をしている69歳男性。来院8日前にふらつきがあり、かかりつけ医を受診。心電図で左軸偏位・右脚ブロック、心エコーで前壁の壁運動低下と、血液検査でCK 1,208IU/Lを指摘されたが、胸痛、冷や汗、動悸、呼吸困難はなく、バイタルサインにも異常がなかったとのことで、本人の希望もあり後日精査予定で帰宅となった。来院7日前には頭痛・眼痛や霧視は伴わずに複視を自覚したが、自制内ゆえ受診はしなかった。来院1日前にかかりつけ医を再診したところ、CKが6,275IU/Lまで上昇していたため、精査加療目的に当院循環器内科に紹介入院となった。冠動脈造影等による精査後の入院4日目に吸気時の両側前頸部痛と息苦しさが出現したため、原因精査目的で総合内科紹介となった。先行する上気道炎・胃腸炎症状、悪寒・発熱・盗汗、食思不振・体重減少、咽頭痛・嚥下困難、咳・痰、腹痛・便通変化、腰背部痛、頻尿・排尿困難、関節痛・筋肉痛、皮疹、顔面感覚障害、回転性めまい・耳症状、味覚障害、構音障害・嚥下障害、四肢筋力低下・感覚障害、Raynaud症状はない。
曝露歴:病人・動物との接触、生もの摂取、半年以内の旅行、数年以内の性交渉いずれもなし。MSM(men who have sex with men)ではない。
既往歴:虫垂切除、憩室炎にて上行結腸切除、高尿酸血症、脂質異常症、腰部脊柱管狭窄症
アレルギー歴:なし
薬剤歴:酪酸菌、アロプリノール、エゼチミブ、半夏瀉心湯、エソメプラゾール(新規開始の薬剤なし)
嗜好歴:たばこ:40本×30年の後20年前に禁煙、アルコール:ビール1,000mL×週2回

参考文献

1)JCS Joint Working Group : Guidelines for diagnosis and treatment of mycocarditis(JCS 2009) ; digest version. Circ J 75(3) : 734-743, 2011. PMID 21304213 〈日本循環器学会の心筋炎の診断と治療のガイドライン〉
2)Kindermann I, et al : Update on mycarditis. J Am Coll Cardiol 59(9) : 779-792, 2012. PMID 22361396 〈心筋炎の診断と治療についてまとめているレビュー。診断と治療のアルゴリズムも参考になる〉
3)Brambatti M, et al : Eosinophilic myocarditis ; characteristics, treatment, and outcomes. J Am Coll Cardiol 70(19) : 2363-2375, 2017. PMID 29096807 〈好酸球性心筋炎の原因の特徴や治療、予後について比較した論文。一読の価値あり!〉
4)Muqit MM, et al : Cyclical orbital eosinophilic myositis. Br J Ophthalmol 91(11) : 1569-1570, 2007. PMID 17947281 〈好酸球性外眼筋炎のケースレポート〉
5)Ishizawa K, et al : Multiple organ involvement in eosinophilic polymyositis ; an autopsy report. Hum Pathol 37(2) : 231-235, 2006. PMID 16426924 〈心筋や横隔膜に好酸球の浸潤を認めた多発筋炎のケースレポート〉

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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