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オール沖縄!カンファレンス|レジデントの対応と指導医の考えVer.2.0・36
隠された病歴
著者: 仮屋この実1 本村和久1 徳田安春2
所属機関: 1沖縄県立中部病院総合診療科 2臨床研修病院群プロジェクト群星沖縄センター
ページ範囲:P.1536 - P.1541
文献購入ページに移動患者:26歳、女性。夫と3人の子どもと5人暮らし。
主訴:意識消失・痙攣(2年間で3回)。
現病歴:
●来院2年前:屋内で短時間の意識消失発作(初回)があり、家族とともに独歩で当院救急外来を受診した。全身状態に問題はなく、原因不明であった。その後精査予定であったが、後日の外来受診はなかった。
●来院2週間前:交通事故をたまたま屋外で目撃した後に、自分で警察に通報後、短時間の意識消失・転倒があった。歩いて1人、裸足で帰宅したが、帰ったことは覚えていない。頭部打撲あり、舌咬傷あり。家族が心配して、独歩で当院救急外来受診となった。心電図では異常がなく、てんかんが疑われ、脳波・MRIを施行したが、異常所見はなかった。帰宅となり、総合内科外来でさらにフォローすることとなった。
●来院1週間前:総合内科外来では、患者は意識消失だけでなく、片頭痛に関しての訴えもあった。他院で処方された発作時の鎮痛薬・予防薬使用も奏功しなかった既往があることがわかった。「昔処方されたロキソプロフェンなどを内服し、他市販薬は飲んでいない」と本人は話していた。頭痛の持続時間は半日から2日間程度、左片側のみの拍動性の頭痛で、前兆はない。痛みがあると、吐き気や嘔吐を伴い、動けないほどきついとのことだった。月経や食べ物での誘因はなく、本人の解釈としても頭痛を引き起こす誘因は特にないとのことだった。挙児希望はなく、妊娠したとしても胎児に影響の少ないアミノトリプチンを(10mg、1日1回、眠前)頭痛の予防薬として開始し、1週間後の外来予約とした。
●来院3日前:海で遊んでいる際に、突然膝から崩れ落ちるように全身を強直させる数分の痙攣発作あり、家族が救急要請し、救急車内で徐々に意識回復した。
既往歴:片頭痛は小学2年生頃より発症。この数年は毎日頭痛発作がある。月経周期は整。最終月経は2週間前。
アレルギー歴:なし。気管支喘息の既往なし。
嗜好歴:飲酒歴なし、喫煙歴は1日10本×10年間。
内服薬:ロキソプロフェンを頭痛時に頓用している。
家族歴:心疾患の家族歴なし。てんかんの家族歴なし。父が片頭痛。
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