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特集 “ナゾ”の痛み診療ストラテジー|OPQRSTで読み解く 【診断と治療のストラテジー「頭の先から足の先まで」痛みのcase file 14】
ずっと「心臓神経症」と言われてきました
著者: 樗木晶子1
所属機関: 1九州大学大学院医学研究院保健学部門
ページ範囲:P.400 - P.403
文献購入ページに移動患者:55歳、女性、専業主婦。
既往歴:49歳で閉経。50歳時に脂質異常症で加療、現在放置。
現病歴:昨年、夫の定年や娘の出産で生活環境が大きく変わった。起床時、胸の奥をつかまれるような重苦しさがあり、咽のつかえと奥歯の浮いた感じが10分くらい続いて治まった。発作が続くため近医を受診したところ、血圧150/80mmHg、胸部X線写真、心電図は正常で、血液検査で脂質異常症を認めた。24時間心電図装着中、発作が起こったが、はっきりした虚血性心電図変化はなかった。その後も胸痛が続くため、ニトログリセリン舌下錠を処方され、舌下してみたが、少し治まる感じがしたのみで、スッキリしなかった。再度近医を受診したところ、抗不安薬を処方されたが、無効なため当院受診となった。血圧も高めであり、微小血管狭心症を疑い、冠血管拡張と降圧をねらいCa拮抗薬を投与したところ、発作は耐えうる程度に減少し、軽快した。病気に対する理解とストレス対処法を会得し、数年で発作は消失した。
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