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文献詳細

雑誌文献

総合診療29巻4号

2019年04月発行

文献概要

特集 “ナゾ”の痛み診療ストラテジー|OPQRSTで読み解く 【診断と治療のストラテジー「頭の先から足の先まで」痛みのcase file 14】

ずっと「心臓神経症」と言われてきました

著者: 樗木晶子1

所属機関: 1九州大学大学院医学研究院保健学部門

ページ範囲:P.400 - P.403

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Case
患者:55歳、女性、専業主婦。
既往歴:49歳で閉経。50歳時に脂質異常症で加療、現在放置。
現病歴:昨年、夫の定年や娘の出産で生活環境が大きく変わった。起床時、胸の奥をつかまれるような重苦しさがあり、咽のつかえと奥歯の浮いた感じが10分くらい続いて治まった。発作が続くため近医を受診したところ、血圧150/80mmHg、胸部X線写真、心電図は正常で、血液検査で脂質異常症を認めた。24時間心電図装着中、発作が起こったが、はっきりした虚血性心電図変化はなかった。その後も胸痛が続くため、ニトログリセリン舌下錠を処方され、舌下してみたが、少し治まる感じがしたのみで、スッキリしなかった。再度近医を受診したところ、抗不安薬を処方されたが、無効なため当院受診となった。血圧も高めであり、微小血管狭心症を疑い、冠血管拡張と降圧をねらいCa拮抗薬を投与したところ、発作は耐えうる程度に減少し、軽快した。病気に対する理解とストレス対処法を会得し、数年で発作は消失した。

参考文献

1)循環器病の診断と治療に関するガイドライン2008-2009年度合同研究班,他:循環器領域における性差医療に関するガイドライン.Circ J 74 Suppl(11) : 1115-1116, 2010. 〈性差の視点から、微小血管狭心症について解説されている〉
2)循環器病の診断と治療に関するガイドライン2012年度合同研究班,他:冠攣縮性狭心症の診断と治療に関するガイドライン(2013年改訂版).pp 34-35, 2013. 日本循環器学会:http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2013_ogawah_h.pdf 〈冠攣縮性狭心症と対比させて、微小血管狭心症について解説されている〉
3)Johnson BD, et al : Prognosis in women with myocardial ischemia in the absence of obstructive coronary disease ; results from the National Institutes of Health-National Heart, Lung, and Blood Institute-Sponsored Women's Ischemia Syndrome Evaluation(WISE). Circulation 109(24) : 2993-2999, 2004. PMID 15197152 〈アメリカの女性を対象とした微小管動脈狭心症の予後について検討している〉

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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