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文献詳細

雑誌文献

総合診療29巻4号

2019年04月発行

文献概要

特集 “ナゾ”の痛み診療ストラテジー|OPQRSTで読み解く 【診断と治療のストラテジー「頭の先から足の先まで」痛みのcase file 14】

痛みで日常生活が一転

著者: 西岡久寿樹12

所属機関: 1一般社団法人難病治療研究振興財団 2政策研究大学院大学グローバルヘルスケア

ページ範囲:P.428 - P.431

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OPQRST
ⓄOnset(発症様式)
 線維筋痛症(Fibromyalgia : 以下FM)の主症状である疼痛誘因には、中枢性の広範囲に及ぶ神経因性疼痛(wide-spread neuropathic pain)の成因に関与する、分子機序の解明が必須であると考えられる。このような視点から本症をみると、その発症の「引き金」には、外傷、手術、ウイルス感染などの外的要因と、離婚・死別・別居・解雇・経済的困窮などの生活環境のストレスに伴う心因性の要因に大別される。また、外因性と内因性というエピソードが存在し、双方が混在している場合があることも判明している。
 これは慢性ストレスとして、神経・内分泌・免疫系の異常により、疼痛シグナル伝達制御のシステムが著しく攪乱し、このため、さらに多様な精神症状、疼痛異常を招いているという悪循環が生じていると考えられ、抜歯などの歯科処置や脊椎外傷や手術、むちうち症など著しい身体障害やパニック障害などが、本症の最初の疼痛の引き金となっている症例も、かなりの頻度で存在する。

参考文献

1)Wolfe F, et al:The American College of Rheumatology 1990 criteria for the classification of fibromyalgia ; report of the Multicenter Criteria Committee. Arthritis Rheum 33(2) : 160-172, 1990. PMID 2306288 〈本症診断に使われている18カ所の圧痛点について書かれている〉
2)Wolfe F, et al:The American College of Rheumatology preliminary diagnostic criteria for fibromyalgia and measurement of symptom severity. Arthritis Care Res 62(5):600-610, 2010. PMID 20461783 〈18カ所の圧痛点に続く診断予備基準について書かれている〉
3)西岡健弥,他:FAS31を用いた線維筋痛症の治療評価.第4回日本線維筋痛症学会抄録集,p78, 2012. 〈Wolfeらが提唱した診断予備基準を日本人に当てはめて作成したFAS31の治療評価について書かれている〉
4)Osada K, et al: Development of the Japanese version of the Fibromyalgia Impact Questionnaire (JFIQ) ; psychometric assessments of reliability and validity. Int J Rheum Dis 14(1) : 74-80, 2011. PMID 21303485 〈本症診断に使われている日本語版FIQ(J-FIQ)について書かれている〉
5)日本線維筋痛症学会,他(編):線維筋痛症診療ガイドライン2017.日本医事新報社,2017. 〈線維筋痛症の診療の手引きとして有用である〉

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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