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特集 “ナゾ”の痛み診療ストラテジー|OPQRSTで読み解く 【診断と治療のストラテジー「頭の先から足の先まで」痛みのcase file 14】
痛みで日常生活が一転
著者: 西岡久寿樹12
所属機関: 1一般社団法人難病治療研究振興財団 2政策研究大学院大学グローバルヘルスケア
ページ範囲:P.428 - P.431
文献購入ページに移動ⓄOnset(発症様式)
線維筋痛症(Fibromyalgia : 以下FM)の主症状である疼痛誘因には、中枢性の広範囲に及ぶ神経因性疼痛(wide-spread neuropathic pain)の成因に関与する、分子機序の解明が必須であると考えられる。このような視点から本症をみると、その発症の「引き金」には、外傷、手術、ウイルス感染などの外的要因と、離婚・死別・別居・解雇・経済的困窮などの生活環境のストレスに伴う心因性の要因に大別される。また、外因性と内因性というエピソードが存在し、双方が混在している場合があることも判明している。
これは慢性ストレスとして、神経・内分泌・免疫系の異常により、疼痛シグナル伝達制御のシステムが著しく攪乱し、このため、さらに多様な精神症状、疼痛異常を招いているという悪循環が生じていると考えられ、抜歯などの歯科処置や脊椎外傷や手術、むちうち症など著しい身体障害やパニック障害などが、本症の最初の疼痛の引き金となっている症例も、かなりの頻度で存在する。
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