総合診療29巻7号

2019年07月発行

What's your diagnosis?[199]

“Yes”なのに“No”

著者： 伊藤裕司¹ 牧隆太郎¹

所属機関： ¹中東遠総合医療センター総合内科

ページ範囲：P.762 - P.765

病歴
患者：39歳、男性
主訴：腹腔内腫瘤
現病歴：生来健康。1年ほど前から食欲減少。6割ほどで満腹と感じるようになり、食事量は8割ほどに減少。8kg/年の体重減少あり。疲れやすさを自覚し、4カ月前からトレーニングジムで走らなくなった。毎年受けている健康診断を3カ月前に受けたら、初めて貧血を指摘された。近医受診し、腹部エコーで「膵臓に囊胞」と指摘され、当院外科紹介受診。画像検査で脾臓などに腫瘤が指摘され、生検などが施行されたが、原因不明なため当科紹介受診。
社会生活歴：
●タバコ：飲み会の時に吸う程度
●アルコール：機会飲酒
●仕事：デスクワーク（商社）
●旅行：10年ほど前にグアムへ社員旅行
●動物との接触：なし
●性交渉歴：男性間性交渉者（MSM : men who have sex with men）
●既往歴：特記すべき事項なし
●家族歴：母方の祖父に膵臓がん、父方のおじに膵臓がん
●薬剤歴：なし

参考文献

1）Ng VL, et al : Extrapulmonary pneumocystosis. Clin Microbiol Rev 10（3） : 401-418, 1997. PMID 9227859 〈Non-HIVよりHIVとの関連が示唆されている〉

2）Telzak EE, et al : Extrapulmonary Pneumocystis carinii infections. Rev Infect Dis 12（3） : 380-386, 1990. PMID 2193343 〈罹患臓器についての報告〉

3）Northfelt DW, et al : Extrapulmonary pneumocystosis ; clinical features in human immunodeficiency virus infection. Medicine（Baltimore） 69（6） : 392-398, 1990. PMID 2233234 〈HIV関連の肺外ニューモシスチス症は、肺病変を伴わなくてもよい〉

4）Radin DR, et al : Visceral and nodal calcification in patients with AIDS-related Pneumocystis carinii infection. Am J Roentgenol 154（1） : 27-31, 1990. PMID 2104720 〈AIDS患者のニューモシスチス症の特徴〉