icon fsr

文献詳細

雑誌文献

総合診療29巻7号

2019年07月発行

文献概要

特集 リウマチ・膠原病ミミック症例帖—“膠原病っぽくみえてしまう疾患たち”にだまされない! 【各論 膠原病っぽくみえてしまう疾患たち】

❸the great imitator「梅毒」にだまされない

著者: 福島一彰1 柳澤如樹2

所属機関: 1がん・感染症センター都立駒込病院 感染症科 2国立国際医療研究センター国際医療協力局

ページ範囲:P.788 - P.792

文献購入ページに移動
Case
リウマチ・膠原病ミミック症例
患者:53歳、女性
主訴:発熱、視力低下
生活歴:非店舗型の性風俗店に勤務している。
現病歴:3カ月前から、発熱・咽頭痛が出現した。総合感冒薬で解熱したものの、体幹部に小紅斑が出現した。近医でステロイド静注薬の投与を受けたところ、紅斑は一時的に改善したが、消失することなく持続していた。2週間前から、左眼の視野欠損が出現し、近医眼科で「眼底出血」と診断された。当院眼科を紹介受診した際に「ぶどう膜炎」と診断され、受診時精査で、梅毒血清反応検査が陽性であったことから当院感染症科を紹介された。
 受診時の身体診察で、左眼球結膜の充血(図1)に加え、軟口蓋の白色粘膜斑、全身に淡い斑丘疹状紅斑を認めた。HIV抗原抗体検査は陰性だった。髄液検査は本人の承諾を得られず実施できなかったが、臨床所見から「眼梅毒」を合併した第2期梅毒と診断し、ペニシリンG静注薬での治療を2週間行なった。治療後、眼症状は速やかに消失し、梅毒血清反応検査は有意に低下したことから治療成功と判断した。

参考文献

1)Golden MR, et al : Update on syphilis ; resurgence of an old problem. JAMA 290(11) : 1510-1514, 2003. PMID 13129993 〈梅毒の病期と臨床所見がわかりやすく記載されている〉
2)Zetola NM, et al : Syphilis and HIV infection ; an update. Clin Infect Dis 44(9) : 1222-1228, 2007. PMID 17407043 〈HIV感染症を合併した梅毒における臨床所見・診断・治療に関するレビュー〉
3)Workowski KA, et al : Sexually transmitted diseases treatment guidelines, 2015. MMWR Recomm Rep 64(RR-03) : 1-137, 2015. PMID 26042815 〈米国の性感染症全般のガイドライン〉
4)Timmermans M, et al : Neurosyphilis in the modern era. J Neurol Neurosurg Psychiatry 75(12) : 1727-1730, 2004. PMID 15548491 〈神経梅毒の症状の分類や診断に関する推奨が記載されている〉
5)Marra CM, et al : Cerebrospinal fluid abnormalities in patients with syphilis ; association with clinical and laboratory features. J Infect Dis 189(3) : 369-376, 2004. PMID 14745693 〈HIV感染者における腰椎穿刺の適応や、神経梅毒の診断について記載されている〉

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?