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特集 リウマチ・膠原病ミミック症例帖—“膠原病っぽくみえてしまう疾患たち”にだまされない! 【各論 膠原病っぽくみえてしまう疾患たち】
❸the great imitator「梅毒」にだまされない
著者: 福島一彰1 柳澤如樹2
所属機関: 1がん・感染症センター都立駒込病院 感染症科 2国立国際医療研究センター国際医療協力局
ページ範囲:P.788 - P.792
文献購入ページに移動リウマチ・膠原病ミミック症例
患者:53歳、女性
主訴:発熱、視力低下
生活歴:非店舗型の性風俗店に勤務している。
現病歴:3カ月前から、発熱・咽頭痛が出現した。総合感冒薬で解熱したものの、体幹部に小紅斑が出現した。近医でステロイド静注薬の投与を受けたところ、紅斑は一時的に改善したが、消失することなく持続していた。2週間前から、左眼の視野欠損が出現し、近医眼科で「眼底出血」と診断された。当院眼科を紹介受診した際に「ぶどう膜炎」と診断され、受診時精査で、梅毒血清反応検査が陽性であったことから当院感染症科を紹介された。
受診時の身体診察で、左眼球結膜の充血(図1)に加え、軟口蓋の白色粘膜斑、全身に淡い斑丘疹状紅斑を認めた。HIV抗原抗体検査は陰性だった。髄液検査は本人の承諾を得られず実施できなかったが、臨床所見から「眼梅毒」を合併した第2期梅毒と診断し、ペニシリンG静注薬での治療を2週間行なった。治療後、眼症状は速やかに消失し、梅毒血清反応検査は有意に低下したことから治療成功と判断した。
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