文献詳細
特集 リウマチ・膠原病ミミック症例帖—“膠原病っぽくみえてしまう疾患たち”にだまされない!
【各論 膠原病っぽくみえてしまう疾患たち】
❻「PMR(リウマチ性多発筋痛症)?」とコンサルトがきて違った症例集
著者: 陶山恭博1
所属機関: 1JR東京総合病院 リウマチ・膠原病科
ページ範囲:P.803 - P.807
文献概要
「リウマチ性多発筋痛症」ミミック症例
患者:72歳、女性
主訴:「全部イタイ」
既往歴:高血圧、脂質異常症
現病歴:2年前に、「リウマチ性多発筋痛症」の疑いで、プレドニゾロン15mgが処方された。症状は軽快したが、ステロイドを減量すると、右肩や後頸部の違和感が出現した。プレドニゾロンからベタメタゾンへ変更するも減量に難渋したため、当院リウマチ・膠原病科を紹介受診した。
身体所見:眼瞼結膜に点状出血なく、Janeway lesionなし。その他、顎跛行、視力障害、側頭動脈の怒張・拡張・圧痛なし、頭皮の疼痛なし。PMR症状は、ステロイド内服下のためかはっきりしなかった。
検査所見:血液培養は陰性。側頭動脈のエコーで壁肥厚なし。眼科診察で眼底に異常なし。その後も、見逃したくない「巨細胞性動脈炎」や「感染性心内膜炎」を積極的に示唆する所見はなかった。ステロイドを減量しやすいように短時間作用型のプレドニゾロンに戻し、朝のみの内服としたところ、肩の違和感が出現した。緊急で受診した前医にて念のため処方されたNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が著効したため、関節エコーを行ったところ肩関節にX線ではっきりしないレベルの石灰化が指摘された。「偽痛風」もしくは「PMRの偽痛風合併」を疑いNSAIDsを併用したうえでステロイドを減量したところ、速やかに漸減・中止が達成された。
参考文献
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