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特集 リウマチ・膠原病ミミック症例帖—“膠原病っぽくみえてしまう疾患たち”にだまされない! 【各論 膠原病っぽくみえてしまう疾患たち】
❿「間質性肺炎」のABC
著者: 山野泰彦1
所属機関: 1公立陶生病院 呼吸器・アレルギー疾患内科
ページ範囲:P.827 - P.833
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「膠原病関連間質性肺炎」ミミック症例
患者:72歳、女性
主訴:咳嗽、息切れ
既往歴:関節リウマチ(1年半前より、ブシラミンで症状改善し継続中)
現病歴:X年12月初旬より、咳嗽・息切れを自覚。X+1年1月、通院中のクリニックを受診した際に、胸部X線・CT撮影を施行し「間質性肺炎」が指摘され、紹介受診した。リウマチの関節症状に悪化なし。膿性痰や発熱など、積極的に細菌感染を示唆する所見なし。
身体所見:関節腫脹・疼痛なし。肺音にfine cracklesあり。皮疹なし。
検査所見:以前の胸部X線;明らかな肺野異常陰影なし。血液;KL-6 1,560U/mL、SP-D272ng/mL。高分解能CT;両肺広汎に小葉中心性の淡い分岐粒状影(図1)。
経過:追加問診にて、11月末に大掃除した際、油落としの洗剤(スプレータイプ)を吸ったあとから自覚症状が出現したとのこと。病歴から、吸入に伴う「過敏性肺炎」を考えた。症状は自然に改善傾向で、また抗原回避もできているため、無治療で経過観察の方針とした。幸いにして、自然経過で陰影は消失した。
「膠原病関連間質性肺炎」ミミック症例
患者:72歳、女性
主訴:咳嗽、息切れ
既往歴:関節リウマチ(1年半前より、ブシラミンで症状改善し継続中)
現病歴:X年12月初旬より、咳嗽・息切れを自覚。X+1年1月、通院中のクリニックを受診した際に、胸部X線・CT撮影を施行し「間質性肺炎」が指摘され、紹介受診した。リウマチの関節症状に悪化なし。膿性痰や発熱など、積極的に細菌感染を示唆する所見なし。
身体所見:関節腫脹・疼痛なし。肺音にfine cracklesあり。皮疹なし。
検査所見:以前の胸部X線;明らかな肺野異常陰影なし。血液;KL-6 1,560U/mL、SP-D272ng/mL。高分解能CT;両肺広汎に小葉中心性の淡い分岐粒状影(図1)。
経過:追加問診にて、11月末に大掃除した際、油落としの洗剤(スプレータイプ)を吸ったあとから自覚症状が出現したとのこと。病歴から、吸入に伴う「過敏性肺炎」を考えた。症状は自然に改善傾向で、また抗原回避もできているため、無治療で経過観察の方針とした。幸いにして、自然経過で陰影は消失した。
参考文献
1)日本呼吸器学会 びまん性肺疾患診断・治療ガイドライン作成委員会(編):特発性間質性肺炎診断と治療の手引き(改訂第3版).南江堂,2016.
2)Smith ML : Update on pulmonary fibrosis ; not all fibrosis is created equally. Arch Pathol Lab Med 140(3) : 221-229, 2016. PMID 26927716
3)日本呼吸器学会 薬剤性肺障害の診断・治療の手引き第2版作成委員会(編):薬剤性肺障害の診断・治療の手引き 第2版.メディカルレビュー社,2018.
4)Natsuizaka M, et al : Epidemiologic survey of Japanese patients with idiopathic pulmonary fibrosis and investigation of ethnic differences. Am J Respir Crit Care Med 190(7) : 773-779, 2014. PMID 25162152
5)Costabel U, et al : An open-label study of the long-term safety of pirfenidone in patients with idiopathic pulmonary fibrosis(RECAP). Respiration 94(5) : 408-415, 2017. PMID 28898890
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