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文献詳細

雑誌文献

総合診療29巻8号

2019年08月発行

文献概要

特集 —ノーモア見逃し—日常の検査と画像に潜むピットフォール 【画像の見落としパターンと限界】

異常所見の伝え方—システム要因への対策法

著者: 木藤雅文1 山下康行1

所属機関: 1熊大病院画像診断・治療科

ページ範囲:P.970 - P.974

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背景
 わが国においてCT、MRIなどの画像診断機器の数は、世界でも群を抜いて多いことが知られており、非常にアクセシビリティが高いと言える1)(図1)。撮影装置と新技術・撮影方法の持続的な開発のため、診断レベルも飛躍的に向上してきている。画像診断に基づいて患者のマネージメント、意思決定がなされることも多く、画像検査の件数も増加している。さらに近年では、臨床医の間ではリスク回避の気持ちや患者の検査希望もあり、画像診断の適応について十分に検討がなされないまま、“念のために”全身スクリーニングのCTやMRIを撮ってみる、という傾向も一部に認められ、わが国の画像検査数の増加に拍車をかけている。これは医療経済や無駄な被曝を避ける点から、大変重要な問題である。
 またそういった背景のなかで、近年、画像診断報告書未読の問題が発生している。従来よりも検査データ量が増加し、多忙を極める医師が、すべての画像検査の結果を把握できず、結果として患者の不利益につながったケースが報告されてきている。

参考文献

1)Kumamaru KK, et al : Global and Japanese regional variations in radiologist potential workload for computed tomography and magnetic resonance imaging examinations. Jpn J Radiol 36(4) : 273-281, 2018. PMID 29453512
2)The Royal College of Radiologists(RCR) : Standards for the communication of critical, urgent and unexpected significant radiological findings. second edition. London, 2008.
3)Nishie A, et al : Current radiologist workload and the shortages in Japan ; how many full-time radiologists are required? Jpn J Radiol 33(5) : 266-272, 2015. PMID 25787900
4)Kumamaru KK, et al : Appropriate imaging utilization in Japan ; a survey of accredited radiology training hospitals. Jpn J Radiol 35(11) : 648-654, 2017. PMID 28916887

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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