総合診療30巻6号

2020年06月発行

特集 下降期慢性疾患患者の“具合”をよくする—ジェネラリストだからできること！ 【トピックス】

❷末期慢性心不全患者の外来点滴療法

著者： 佐藤幸人¹

所属機関： ¹兵庫県立尼崎総合医療センター 循環器内科

ページ範囲：P.728 - P.730

　超高齢化社会を迎えた今、心不全患者は増加しているが、心不全は入退院を繰り返し死に至る疾患である。その平均年齢は80歳を超え、がん、認知症、腎不全などの併存症も多く、社会的・家庭的にも多くの問題点を抱えるようになってきている。「心不全は根治が望めない、進行性かつ致死性の疾患である」とし、ACP（advance care planning）と緩和ケアについての提唱も行われるようになってきた。また、2018年12月には「脳卒中・循環器病対策基本法案」が国会を通過して成立し、今後はまさに国策として、心不全の診療大系が地域包括ケア構想に沿って構築されることになる。
　地域での話として、具体的には入院回避と在宅看取りも重要課題であるが、当院では1995年から入院回避、または在宅看取りの1つの方法として、「3, 4時間の外来点滴」という方法を取り入れており、本稿ではその概要を述べる。在宅管理を望まれる方の入退院回避や、認知症があり入院での管理が困難な方に有用であると考えている^1〜4）。

参考文献

1）西清人，他：外来点滴療法による末期慢性心不全患者の医療費抑制と入院日数抑制の可能性について．心臓41（6） : 659-667, 2009.

2）佐藤幸人，他：入院回避を目的として，外来にて硝酸イソソルビドを点滴投与した慢性心不全の悪化症例．心臓43（5） : 642-648, 2011.

3）Nishi K, et al : Intermittent infusions of carperitide or inotoropes in out-patients with advanced heart failure. J Cardiol 59（3） : 366-373, 2012.

4）佐藤幸人：心不全の基礎知識100（第2版）．pp188-189，文光堂，2019.

5）Martens P, et al : Effects of intravenous home dobutamine in palliative end-stage heart failure on quality of life, heart failure hospitalization, and cost expenditure. ESC Heart Fail 5（4） : 562-569, 2018. PMID 29341466