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文献詳細

雑誌文献

総合診療30巻7号

2020年07月発行

文献概要

特集 その倦怠感、単なる「疲れ」じゃないですよ!—筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群とミミック 【Ⅰ章】 ME/CFSを極める!—“病像”をつかむ

ME/CFSを疑った時の診断ステップと鑑別診断—「倦怠感」を主訴とする患者の臨床診断ストラテジー

著者: 伴信太郎123

所属機関: 1愛知医科大学 医学教育センター 2愛知医科大学 シミュレーションセンター 3愛知医科大学 メディカルクリニック総合診療科

ページ範囲:P.809 - P.813

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Case
ME/CFSを疑って鑑別診断を進めている症例
患者:48歳、女性
主訴:全身倦怠感
既往歴:43歳時;閉経、5年前;良性発作性頭位性めまい
職業歴:製造業の営業部に20年前から勤務、特記すべき職場ストレスなし
現病歴:来院約3カ月前にインフルエンザに罹患。しばらく寝込んだが、10日後には職場復帰。その後1日会社を休んだが、翌日には復帰。しかし職場復帰1週間後から、倦怠感のため6日連続で午後休暇をとった。以後、しばしば理由なく倦怠感に襲われるようになり、来院10日前には会社からしばらく休んで体調が回復してから職場復帰するように言われた。
 来院2カ月前には近医を受診し、血液・尿検査、胸部X線・腹部エコー検査で異常所見なく、神経内科を紹介された。そこでは起立性頻拍を指摘され、ベンゾジアゼピン系薬を処方されるも改善しなかった。症状から自分で「ME/CFS(筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群)」を疑い、当初受診した近医に紹介状を書いてもらって来院した。
 来院前の数日間は、朝起きると息も絶え絶えという感じで起き上がれないほどであった。腕や大腿部に筋肉痛あり、熟眠感はない。
初診時の対応:期間は診断基準を満たさないが、発症状況や明らかな検査異常が認められないこと、性別・年齢などからME/CFSの事前確率は一定程度あると判断し、まずうつ病・うつ状態と稀な身体疾患を除外する予定とした。

参考文献

1)伴信太郎:全身倦怠感.筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群.南学政臣(総編集),伴信太郎,山本和利(編):内科学書(改訂第9版),vol.1 内科学総論/臨床症状.pp341-342,中山書店,2019.
2)伴信太郎,松本美富士,倉恒弘彦:慢性疲労症候群の新しい診断基準と呼称の提唱-筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)の診断基準(2017).日疲労学誌12(2);1-7, 2017.
3)伴信太郎:診断法(臨床診断基準と研究用診断基準).倉恒弘彦,松本美富士(編):専門医が教える筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)診療の手引き.pp35-47,日本医事新報社,2019.
4)Institute of Medicine:Beyond Myalgic Encephalomyelitis/Chronic Fatigue Syndrome ; Redefining an Illness. National Academies Press, Washington DC, 2015. https://www.cdc.gov/me-cfs/healthcare-providers/diagnosis/iom-2015-diagnostic-criteria.html(2020年6月8日現在)
5)Fukuda K, et al:The chronic fatigue syndrome ; a comprehensive approach to its definition and study. International chronic fatigue syndrome study group. Ann Intern Med 121(12) : 953-959, 1994. PMID 7978722
6)佐藤元紀,胡暁晨,藤江里依子,伴信太郎:集学的治療.倉恒弘彦,松本美富士(編):専門医が教える筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)診療の手引き.pp66-76,日本医事新報社,2019.
7)Brimmer DJ, et al:U.S. healthcare providers' knowledge, attitudes, beliefs, and perceptions concerning chronic fatigue syndrome. BMC Fam Pract 11 : 28, 2010. PMID 20406491

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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