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特集 その倦怠感、単なる「疲れ」じゃないですよ!—筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群とミミック 【Ⅰ章】 ME/CFSを極める!—“病像”をつかむ
ME/CFSの合併症—線維筋痛症を中心に
著者: 松本美富士1
所属機関: 1桑名市総合医療センター 膠原病リウマチ内科
ページ範囲:P.818 - P.823
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車の追突事故による頸椎損傷が契機で線維筋痛症を併発した一例
患者:41歳、女性。百貨店員。
既往歴:30代にうつ病、各種薬剤で気分不良
現病歴:29歳時に誘因なく突然の激しい疲労・倦怠感が出現、「ME/CFS」と診断し通院中、1.7年後に乗用車の追突事故による軽度の頸椎損傷を契機に筋痛・関節痛が持続・悪化・拡大し、仕事を休みがちとなる。全身アロディニア(異痛症)があり、米国リウマチ学会1990年基準を満たし、「線維筋痛症」との併存例と診断。多くの疼痛緩和薬が使用できず、体動による激しい全身痛で破局的状態に陥り、雇用打ち切りとなる。疾患の教育・理解と受容、瞑想的有酸素運動、必要な薬物療法で数年の経過で症状が改善し、パート勤務可能となる。
車の追突事故による頸椎損傷が契機で線維筋痛症を併発した一例
患者:41歳、女性。百貨店員。
既往歴:30代にうつ病、各種薬剤で気分不良
現病歴:29歳時に誘因なく突然の激しい疲労・倦怠感が出現、「ME/CFS」と診断し通院中、1.7年後に乗用車の追突事故による軽度の頸椎損傷を契機に筋痛・関節痛が持続・悪化・拡大し、仕事を休みがちとなる。全身アロディニア(異痛症)があり、米国リウマチ学会1990年基準を満たし、「線維筋痛症」との併存例と診断。多くの疼痛緩和薬が使用できず、体動による激しい全身痛で破局的状態に陥り、雇用打ち切りとなる。疾患の教育・理解と受容、瞑想的有酸素運動、必要な薬物療法で数年の経過で症状が改善し、パート勤務可能となる。
参考文献
1)Wolfe F, et al : The American College of Rheumatology 1990 Criteria for the Classification of Fibromyalgia. Report of the Multicenter Criteria Committee. Arthritis Rheum 33(2) : 160-172, 1990. PMID 2306288 〈米国リウマチ学会のFMの定義と分類基準の提示〉
2)松本美富士:機能性身体症候群としての線維筋痛症.日疲労会誌 5(2) : 8-14, 2010. 〈機能性身体症候群について、またME/CFSとFMとの関連を解説している〉
3)松本美富士:線維筋痛症,変貌しつつある疾患概念.SRL宝函.37(1) : 19-29, 2016. 〈FMの疾患概念について、病態解析の進歩による変遷を解説している〉
C-(R)-PK11195 PET Study. J Nucl Med 55(6) : 945-950, 2014. PMID 24665088 〈ME/CFS患者のPET画像解析により、脳の特定領域のミクログリア活性化と臨床徴候の関連を発見〉
5)Lin C, et al : Gray Matter Atrophy within the Default Mode Network of Fibromyalgia ; A Meta-Analysis of Voxel-Based Morphometry Studies. Biomed Res Int 2016 : 7296125, 2016. PMID 28105430 〈FMの機能的MR画像異常報告のメタ分析で、default mode network相互接続性異常を確認〉
6)松本美富士,他:本邦線維筋痛症の臨床疫学像(全国疫学調査の結果から).臨床リウマチ 18(1):87-92, 2006. 〈厚労省研究班の全国疫学調査による、わが国のFM患者の疫学所見を明らかにしたもの〉
7)Nakamura I, et al:An epidemiologic internet survey of fibromyalgia and chronic pain in Japan. Arthritis Care Res(Hoboken)66(7) : 1093-1101, 2014. PMID 24403219 〈20歳以上の2万人の日本人を対象とした、FMの有病率のインターネット調査の報告〉
8)松本美富士:線維筋痛症の疾患認知度の経年変化および診療ガイドライン作成に関する研究.厚生労働省「線維筋痛症の発症要因の解明及び治療システムの確立と評価に関する研究」平成22年度研究報告書,pp27-29, 2010. 〈厚労省研究班による、わが国のリウマチ医およびプライマリ・ケア医のFMの認知度・診療実績などについてのアンケート調査報告〉
9)松本美富士:線維筋痛症の疾患概念と臨床疫学.日本臨牀76(11) : 1913-1920, 2018. 〈FMの国内外の疫学的所見を解説したもの〉
10)Wolfe F, et al : The American College of Rheumatology preliminary diagnostic criteria for fibromyalgia and measurement of symptom severity. Arthritis Care Res(Hoboken)62(5) : 600-610, 2010. PMID 20461783 〈米国リウマチ学会によるFMの診断予備基準の提案〉
11)日本線維筋痛症学会,他(編):線維筋痛症診療ガイドライン2017.日本医事新報社,2017. https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0117/g0001049(2020年6月8日現在) 〈FMの臨床的問題点をclinical questionsを設定し、GRADEシステムで作成したガイドライン。p.817〉
12)松本美富士:ME/CFSと線維筋痛症(FM).倉恒弘彦,松本美富士(編):専門医が教える 筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)診療の手引き.pp89-96,日本医事新報社,2019. 〈ME/CFSの診療に必要な基礎から臨床までの最新の知見、FMとの併存例も解説。p.884〉
13)Macfarlane, GJ et al : EULAR revised recommendations for the management fibromyalgia. Ann Rheum Dis 76(2) : 318-328, 2017. PMID 27377815 〈欧州リウマチ学会におけるFM治療のメタ分析結果による管理アルゴリズムの提案〉
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