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文献詳細

雑誌文献

総合診療30巻7号

2020年07月発行

文献概要

特集 その倦怠感、単なる「疲れ」じゃないですよ!—筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群とミミック 【Ⅰ章】 ME/CFSを極める!—“病像”をつかむ

ME/CFSの治療・マネジメント

著者: 沼田健裕12

所属機関: 1国立病院機構 米沢病院 内科・慢性疲労外来 2東北大学病院 総合診療科・漢方内科

ページ範囲:P.824 - P.829

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Case
患者:40代、女性。看護師。
主訴:全身性の倦怠感・疼痛、頭痛、微熱、睡眠障害
既往歴:X-2年4月にサイトメガロウイルス肝炎(入院治療で軽快)
現病歴:同年6月頃から、全身の倦怠感・関節痛・筋肉痛・脱力などの症状が出現。多発脊髄神経根炎が疑われ、9月に「ステロイドパルス療法」を受けるも軽快せず。業務負担を軽減し勤務継続するも、X年9月には2週間休職(performance status:6。p.813)。「鎮痛薬」「ビタミンC」「補中益気湯」の投与を受けるも病状は一進一退、11月に当院初診。
診療経過:漢方的に「少陽病」と診断し、「小柴胡湯」で治療を開始。日中の眠気が強くなり、12月中旬から1カ月半の休職を指示。休職明けには諸症状緩和され、時短勤務1カ月のあとにフルタイム勤務に復帰した。

参考文献

1)遊道和雄:平成26年度厚生労働省「慢性疲労症候群患者の日常生活困難度調査事業」事業実施報告書. https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000104377.pdf(2020年6月8日現在) 〈ME/CFS患者の発症契機や症状・受診状況などの調査報告〉
2)岡部竜吾:ジェネラリスト漢方Basics「風邪が長引いて不調なんです.」-少陽病;長引く炎症,ストレスと自律神経失調.総合診療28(12) : 1705-1708, 2018. 〈こじらせた風邪を例にあげ、「少陽病」の考え方について解説されている〉
3)Numata T, et al: Successful treatment of myalgic encephalomyelitis/chronic fatigue syndrome with chronic febricula using the traditional Japanese medicine Shosaikoto. Intern Med 59(2) : 297-300, 2020. PMID 31534083 〈ME/CFS患者を漢方的に「少陽病」として診断・治療し、社会復帰まで導いた症例報告〉
4)中島修,他:慢性肝炎患者におけるカネボウ小柴胡湯(SKT)エキス顆粒のインターフェロン(IFN)-α誘起作用ならびに臨床効果.医学と薬学 10(2) : 687-693, 1983. 〈各種慢性肝炎患者6名に小柴胡湯を約100日間投与し、IFN-αが投与前と比較し投与後に約23.6倍上昇が認められた〉
5)沼田健裕:不眠.髙山真(編):論より証拠の漢方処方.pp 95-101,日本医事新報社,2018. 〈疾患・症候別に、基礎から臨床にわたる研究データをもとにエビデンスを紹介し、漢方処方の使い分けを解説している〉

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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