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特集 その倦怠感、単なる「疲れ」じゃないですよ!—筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群とミミック 【Ⅰ章】 ME/CFSを極める!—“病像”をつかむ
コラム❸慢性疲労患者に対する心理的アプローチと支援
著者: 吉原一文1
所属機関: 1九州大学大学院医学研究院 心身医学(心療内科)
ページ範囲:P.830 - P.834
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心理的アプローチにより慢性疲労が改善した一例
患者:40代、女性
現病歴:X-10年頃から疲労感が出現し、X-5年頃より疲労感が持続するようになった。X年に疲労感が増悪したため、4つの医療機関を受診したが、異常所見は認められなかった。心理的要因の関与が疑われ、同年に当科を初診した。
治療経過:特発性慢性疲労と診断し、「支持的アプローチ(受容・共感、傾聴)」を用いて信頼関係を築きながら、初診の翌月より段階的運動療法を開始した。その後、過剰適応的な行動パターンが明らかになり、ストレスにより疲労が増悪していることを自覚するようになった。X+2年に「アサーショントレーニング(自己主張訓練)」と「認知行動療法」を開始した。X+5年には夫と一緒にカウンセリングを行い、「リラクセーション法(自律訓練法)」を開始した。X+7年には疲労感は改善し、経過良好のため終診となった。
心理的アプローチにより慢性疲労が改善した一例
患者:40代、女性
現病歴:X-10年頃から疲労感が出現し、X-5年頃より疲労感が持続するようになった。X年に疲労感が増悪したため、4つの医療機関を受診したが、異常所見は認められなかった。心理的要因の関与が疑われ、同年に当科を初診した。
治療経過:特発性慢性疲労と診断し、「支持的アプローチ(受容・共感、傾聴)」を用いて信頼関係を築きながら、初診の翌月より段階的運動療法を開始した。その後、過剰適応的な行動パターンが明らかになり、ストレスにより疲労が増悪していることを自覚するようになった。X+2年に「アサーショントレーニング(自己主張訓練)」と「認知行動療法」を開始した。X+5年には夫と一緒にカウンセリングを行い、「リラクセーション法(自律訓練法)」を開始した。X+7年には疲労感は改善し、経過良好のため終診となった。
参考文献
1)Buchwald D, et al : Chronic fatigue and the chronic fatigue syndrome ; prevalence in a Pacific Northwest health care system. Ann Intern Med 123(2) : 81-88, 1995. PMID 7778839 〈慢性疲労の有病率は高く、慢性疲労患者はCFSと同様に心理的苦悩が大きい〉
2)Bombardier CH, et al : Chronic fatigue, chronic fatigue syndrome, and fibromyalgia. Disability and health-care use. Med Care 34(9) : 924-930, 1996. PMID 8792781 〈慢性疲労患者の障害の程度や医療サービスの使用は、CFS患者と類似していた〉
3)吉原一文,他:疲労の臨床と予防管理.産業医ジャーナル 31(2) : 31-36, 2008. 〈慢性疲労患者の診断・治療、疲労の予防法についての概説〉
4)吉原一文:疲労・倦怠感および慢性疲労症候群の病態.心身医 57(3):282-289, 2017. 〈心身の病態に応じた治療プログラムを提供することが重要である〉
5)吉原一文:心療内科で用いるストレス対処法-慢性疲労症候群の診療を通して.難病と在宅ケア 25(6) : 37-41, 2019. 〈病気に関連する要因に対応した心理的アプローチについての概説〉
6)日本交流分析学会 http://www.js-ta.jp/analysis.html
7)日本認知療法・認知行動療法学会 http://jact.umin.jp/introduction/
8)日本マインドフルネス学会 http://mindfulness.jp.net/
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