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特集 その倦怠感、単なる「疲れ」じゃないですよ!—筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群とミミック 【Ⅱ章】 ME/CFSミミックス—「疲労・倦怠感」を主訴に受診する患者さんたち
【慢性感染症】問診であぶり出す隠れた慢性感染症
著者: 宮上泰樹1 内藤俊夫1
所属機関: 1順天堂大学医学部 総合診療科学講座
ページ範囲:P.839 - P.843
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患者:58歳、男性
既往歴:10年前に梅毒
現病歴:15年ほど前から、脂質異常症で定期通院している患者さん。いつもどおりに診察して薬を処方し、来月の予約をとろうとした際に患者さんより、「2週間くらい前から少し倦怠感があり、階段を上ると息切れがするようになった」との訴えがあった。診察時には発熱や呼吸数上昇やSpO2低下はなく、身体所見も問題なかったため、特に異常がないように思われた。患者さんは「ここ最近、仕事が忙しくて寝不足であったせいかもしれない」と話しており、よく休んで経過観察するよう伝えた。
翌週、呼吸困難が強くなり咳嗽もひどくなったため、再度外来を受診された。診察したところ、38℃台の発熱、呼吸数の増加があり、聴診上late inspiratory crackleが聴取された。胸部X線は正常であったが、CTを撮影したところ、両側肺野にびまん性の浸潤影を認めた。梅毒の既往症があったことからHIV抗体検査をしたところ、陽性であった。さらに、白血球中のCD4陽性リンパ球数が30/μL、β-Dグルカン陽性であった。CT画像と併せて、「HIV陽性のニューモシスチス肺炎」の診断となった。
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