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文献詳細

雑誌文献

総合診療30巻7号

2020年07月発行

文献概要

特集 その倦怠感、単なる「疲れ」じゃないですよ!—筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群とミミック 【Ⅱ章】 ME/CFSミミックス—「疲労・倦怠感」を主訴に受診する患者さんたち

【内分泌疾患】疑うことからまず始めよう! 内分泌検査の重要性

著者: 徳増一樹1 大塚文男1

所属機関: 1岡山大学病院 総合内科・総合診療科

ページ範囲:P.844 - P.847

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Case
ME/CFSの診断基準を満たしたACTH単独欠損症の一例
患者:60代、男性
主訴:全身倦怠感
現病歴:生来健康で社交的だった。定年退職後の200X年より、進行する食欲不振と全身倦怠感のためA病院を受診するが原因不明。関節変形のため、B病院・膠原病内科も受診するが原因不明であった。器質的疾患が否定的とのことで、C病院精神科に「うつ病」として入院、薬物療法やリハビリテーションを行っていた。しかし、全身倦怠感が進行し、胃ろうを増設し補液による栄養管理が行われ、寝たきり状態となっていた。精査の希望があり、200X+3年10月に当院を紹介受診した。
既往歴:狭心症
外来処方:精神科;クロチアゼパム、エチゾラム、ミルタザピン。内科;タムスロシン、ラベプラゾール、乳酸菌整腸剤、モサプリド、酸化マグネシウム、クエン酸第一鉄、アルコルビン酸・パントテン酸、ニトログリセリンテープ。
家族歴:母;関節リウマチと認知症、妹;関節リウマチ
入院時身体所見:身長164cm、体重44.3kg、BMI 16.5。体温36.7℃、血圧122/80mmHg、脈拍数77回/分。
 仮面様顔貌、挺舌制限、構語障害あり、口腔内に唾液貯留(嚥下障害)あり。肺音・心音に雑音なし。手指にスワンネック様変形あり、関節腫脹なし。上腕二頭反射、上腕三頭筋反射亢進、膝蓋腱反射正常〜低下、肘・膝関節に屈曲拘縮。

参考文献

1)徳増一樹:全身倦怠感から疑う下垂体不全—ACTH単独欠損症など.大塚文男(編著):General Mindで攻める—総合内科で診る内分泌疾患.p22-25,中外医学社,2020. 〈p.885〉
2)難病情報センター:下垂体前葉機能低下症(指定難病78). https://www.nanbyou.or.jp/entry/4017(2020年6月8日現在)
3)Steinberg, A, et al : True pituitary Addison's disease, a pituitary unitropic deficiency ; fifteen-year follow-up. J Clin Endocrinol Metab 14(12) : 1519-1529, 1954. PMID 13211787
4)片上秀喜,他:ACTH単独欠損症の人口100万人あたりの発症頻度と臨床像.ACTH-RELATED PEPTIDES, 18 : 29-32, 2007.
5)二川原健,他:ACTH単独欠損症.中尾一和,他:新領域別症候群シリーズ 内分泌症候群(第2版)Ⅰ-その他の内分泌疾患を含めて.別冊日本臨牀,pp58-62, 2006.
6)岩崎泰正,他:Ⅲ.続発性副腎機能低下症の診断,2. ACTH単独欠損症.日内会誌,97(4) : 747-751, 2008.
7)Postow, M. A, et al : Immune-related adverse events associated with immune checkpoint blockade. N Engl J Med 378(2) : 158-168, 2018. PMID 29320654

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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