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【臨床小説】後悔しない医者|あの日できなかった決断・第5話
危機がわからない医者
著者: 國松淳和1
所属機関: 1医療法人社団永生会 南多摩病院 総合内科・膠原病内科
ページ範囲:P.1026 - P.1031
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救急外来で、発熱と軽い意識障害、皮疹で運び込まれた23歳・女性(バセドウ病の既往あり)が、ショック状態をきたしている。優秀な後期研修医・栗塚は、救急科ローテーション最終日前日、初期研修で叩きこまれた病歴聴取と身体診察を駆使して、この患者に鮮やかに診断をつけ、高揚していた。敗血症性肺塞栓、右心系の感染性心内膜炎、原因菌は黄色ブドウ球菌に違いない。しかしその夜、栗塚は寝つけなかった。彼女は違法静注ドラッグを使っている可能性がある…。それに、「なんとなく」何かが気になって——。
診断も治療も間違ってはいない。それでも、患者の病状が予期せず悪化することがある。いろいろ手を尽くしてみても改善しない。実は「危機」に瀕している。今回の患者もそうだ。なぜ? 前回そして今回の描写のなかに、すべてのヒントはあったのに。
救急外来で、発熱と軽い意識障害、皮疹で運び込まれた23歳・女性(バセドウ病の既往あり)が、ショック状態をきたしている。優秀な後期研修医・栗塚は、救急科ローテーション最終日前日、初期研修で叩きこまれた病歴聴取と身体診察を駆使して、この患者に鮮やかに診断をつけ、高揚していた。敗血症性肺塞栓、右心系の感染性心内膜炎、原因菌は黄色ブドウ球菌に違いない。しかしその夜、栗塚は寝つけなかった。彼女は違法静注ドラッグを使っている可能性がある…。それに、「なんとなく」何かが気になって——。
診断も治療も間違ってはいない。それでも、患者の病状が予期せず悪化することがある。いろいろ手を尽くしてみても改善しない。実は「危機」に瀕している。今回の患者もそうだ。なぜ? 前回そして今回の描写のなかに、すべてのヒントはあったのに。
参考文献
1)Moss R, Munt B:Injection drug use and right sided endocarditis. Heart 89(5) : 577-581, 2003. PMID 12695478
2)皆越眞一:感染性心内膜炎の心エコー 三尖弁・肺動脈弁.心エコー 10(4) : 354-356, 2009.
3)Kunimatsu J, Yoshizawa A:Staphylococcal septic emboli in an injection drug user. Intern Med 52(14) : 1659, 2013. PMID 23857107
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