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雑誌目次

雑誌文献

総合診療30巻9号

2020年09月発行

雑誌目次

特集 いつ手術・インターベンションに送るの?|今でしょ! 今じゃないでしょ! 今のジョーシキ!【感染症・内分泌・整形外科 編】

著者: 徳田安春

ページ範囲:P.1046 - P.1047

さまざまな疾患や病態で、新しく開発された手術や手技による治療が可能になってきました。
伝統的な手術による治療法に加え、カテーテルや内視鏡、腹腔および胸腔鏡、その他の医療デバイスなどの開発が目覚ましくなってきています。
“今のジョーシキ”は大きく変わったと言えるでしょう。
このようななか、これらの介入価値を高めるためには、「適切なタイミングと適応での介入」が望まれます。
患者さんのアウトカムを改善する効果が期待される一方で、エビデンスの範疇を超えるような適応拡大による「過剰治療」や「副作用」のリスクもあります。
そこで本特集では、悪性腫瘍以外の疾患における【感染症・内分泌・整形外科】の手術・手技の適応とタイミングについて、エビデンスに基づき解説します。

今月の「めざせ! 総合診療専門医!」問題

ページ範囲:P.1106 - P.1106

本問題集は、今月の特集のご執筆者に、執筆テーマに関連して「総合診療専門医なら知っておいてほしい!」「自分ならこんな試験問題をつくりたい!」という内容を自由に作成していただいたものです。力試し問題に、チャレンジしてみてください。

【感染症】

❶深部膿瘍

著者: 山岸文範

ページ範囲:P.1048 - P.1054

❶肝膿瘍
Q1 上記Case(肝膿瘍)は「出血リスク」がありますが、ドレナージをします…よね?
 肝膿瘍では、敗血症を念頭に、遅滞なく経皮的ドレナージを行うことが重要です1)。出血リスクがある場合も同様で、血小板輸血を用意するなどしてドレナージを検討してください2)

❷化膿性・壊死性疾患

著者: 崔賢民 ,   渡部慎太郎 ,   稲葉裕

ページ範囲:P.1055 - P.1061

❶化膿性・結核性関節炎(成人)
Q1 発熱で受診した患者さんが、膝関節の疼痛・腫脹もあると言っています。関節注射など、特に膝に関する治療歴はないのですが、「化膿性膝関節炎」の診断と専門医へのコンサルトはどうすればよいですか?
 化膿性膝関節炎の診断では、❶炎症徴候(疼痛、腫脹、発赤、熱感、機能障害)の有無、❷血液検査による炎症所見の判定に加え、❸関節穿刺による関節液検査が重要です。関節注射などの治療歴がなくても、血行性に細菌性(結核性)関節炎を起こすこともあるため、関節周囲の炎症徴候が強い場合は、速やかな整形外科医へのコンサルトを推奨します。

【内分泌疾患】

❶甲状腺・副甲状腺疾患

著者: 飯原雅季 ,   鈴木留美 ,   川真田明子 ,   小原孝男

ページ範囲:P.1062 - P.1066

❶甲状腺腫瘍
Q1 健診の頸動脈エコー検査で、5mmの「甲状腺乳頭癌」が疑われました。患者さんは心配していますが、ただちに手術したほうがよいのでしょうか?
 1cm以下の微小甲状腺乳頭癌では、周囲浸潤やリンパ節・遠隔転移がなければ長期に病状が進行しないことが多く予後良好であるため、ただちに手術する必要はありません。リスク分類に応じた治療選択が必要であり、一定の基準を満たせば専門医の判断のもとで「非手術経過観察」が可能です。

❷副腎疾患

著者: 西川哲男

ページ範囲:P.1067 - P.1073

❶原発性アルドステロン症
Q1 健診で高血圧を指摘され、降圧希望患者を診察した際、「二次性高血圧」を鑑別するにはどうすべきか、内分泌内科にコンサルトを依頼した。
 必ずしも「今じゃない」。二次性高血圧のスクリーニングは、一般内科で容易に実施可能である。なかでも、尿中K排泄を亢進する「原発性アルドステロン症(PA)」は二次性高血圧で最も頻度が高く、高血圧診療で最初に鑑別すべき病態である。高血圧診療では、必ず1日食塩摂取量を測定し、その結果で血中・尿中K値を評価する。後述のように、加えて血中HCO3-濃度、PRA(血漿レニン活性、最近はレニン濃度)およびPAC(血中アルドステロン濃度)をみてPAの可能性が高ければ、PAスクリーニングをしたうえで、内分泌あるいは高血圧の専門医に紹介する。

【整形外科疾患】

❶肩関節疾患

著者: 杉本勝正

ページ範囲:P.1074 - P.1080

❶腱板断裂
Q1 57歳・男性が、転倒し右肩を強打したあと右肩痛と右上肢挙上不能となり、3日後に受診した。腱板部に圧痛あり、挙上は30°程度は可能、知覚および肘手の筋力は正常であった。以前に肩を酷使するスポーツ・職業に関与した経験はない。まずすべき治療と今後の方針は?
 腱板断裂であり、明らかに「急性期」である。まずは「疼痛コントロール」と「可動域訓練」を2〜3カ月行い、その結果を確認してから手術するか否かを判断する。

❷変形性関節症

著者: 天羽健太郎 ,   北村信人

ページ範囲:P.1081 - P.1086

❶変形性股関節症
Q1 60歳・女性が右鼠径部付近の痛みを訴えており、X線撮影をしたところ、「右股関節」に変形がありました。人工関節の適応はありますか?
 変形性股関節症では、「3〜6カ月の保存治療を行っても症状の改善が得られない場合」に手術を検討します。「年齢」「活動度」「症状」「関節症の進行度」を総合的に判断し手術適応を決定しますが、「合併症リスク」や年齢的に「再置換リスク」が低い場合には、人工股関節置換術(図1)を考慮します。

❸足部疾患

著者: 須田康文

ページ範囲:P.1088 - P.1093

❶扁平足
Q1 中年女性が、片側のみの「扁平足」と約1年前からの踵部外側の痛みを訴えて来院されました。痛みを改善する方法を教えてください。
 発症年齢と女性であること、変形が片側のみであることから、扁平足の原因として「後脛骨筋腱機能不全(PTTD)」が考えられます。stage2以下であれば、「足底挿板」で内側縦アーチの持ち上げと踵部外反の矯正を試みてください。これに抵抗性あるいはstage3以上の場合、「手術療法」が考慮されます。

❹脊椎疾患

著者: 岩井宏樹 ,   古閑比佐志

ページ範囲:P.1094 - P.1101

❶腰椎椎間板ヘルニア
Q1 「膀胱直腸障害」(尿意や便意を感じず、自身で排尿・排便が困難な状態)が生じている患者さんは、できるだけ早く手術可能な病院へ転院してもらうべきですか?
 はい、そのとおりです。可能なら「48時間以内」の手術が、膀胱直腸障害の回復に寄与します。膀胱直腸障害が回復しないと、自己導尿や薬物による排便コントロールなど、患者さんの将来にわたる大きな負担が生じます。

<コラム>スポーツ傷害管理のピットフォール

著者: 馬見塚尚孝

ページ範囲:P.1102 - P.1105

 近年、亜鉛に関する研究が進み、「亜鉛欠乏症」が多彩な症状を呈し、整形外科およびスポーツ整形外科領域の疾患や傷害にも関係が深いことが明らかになりつつある。本稿では、スポーツ傷害に関係する亜鉛欠乏症研究の最近の進歩と、当クリニックで行っている診療の実際を紹介する。

Editorial

手術・手技による「薬物副作用」の軽減

著者: 徳田安春

ページ範囲:P.1037 - P.1037

 手術・手技が医学的適応となる患者さんに、適切なタイミングで、適切な方法で行うと、患者さんにとってのアウトカムやQOLをよくするだけでなく、「薬物療法の副作用」から患者を救うことにもなる。短期的に使用する程度であれば副作用の少ない薬剤でも、長期に使用すると思わぬ重大な副作用をもたらす場合があるからだ。
 本企画のパート1(2020年2月号)では循環器・消化器・神経疾患を取り上げたが、今回は「感染症」「内分泌疾患」「整形外科疾患」を取り上げた。

What's your diagnosis?[213]

13日の金曜日

著者: 八城誠 ,   佐田竜一 ,   石丸裕康 ,   八田和大

ページ範囲:P.1040 - P.1043

病歴
患者:82歳、男性
主訴:3カ月で3回繰り返す発熱
現病歴:入院2カ月前に寒気、38℃台の発熱により救急受診した。血液培養を採取され、セフメタゾール点滴とアモキシシリン/クラブラン酸内服にて帰宅したが、翌日には解熱した。血液培養は陰性であった。入院1カ月前に39℃台の発熱、悪寒・戦慄があり、救急受診した。再度、熱源不明の発熱とし、血液培養採取のうえでアモキシシリン/クラブラン酸内服処方にて帰宅したが、2日後に解熱した。血液培養はやはり陰性であった。入院前日まで元気だったが、当日の朝に突然の悪寒・戦慄が出現し、再度救急受診し、精査目的に入院した。
ROS(+):全身倦怠感、頭痛、食事中のむせ
ROS(-):鼻汁、咽頭痛、下痢、関節痛
既往歴:下垂体腫瘍術後(68歳時)、甲状腺機能低下症、副腎皮質機能低下症、高血圧、心房細動、心不全、憩室炎およびESBL産生大腸菌菌血症、血小板減少症
アレルギー歴:なし
薬剤歴:メチルジゴキシン、ワルファリン、トラセミド、エチゾラム、リマプロスト、レボチロキシン、ヒドロコルチゾン、リセドロン酸ナトリウム、トラマドール、ルビプロストン、酸化マグネシウム
アレルギー歴:なし
ペット飼育歴:なし
渡航歴:なし

“コミュ力”増強!「医療文書」書きカタログ・4

専門医への電話コンサルテーション 快く診察に足を運んでもらうには?

著者: 天野雅之

ページ範囲:P.1108 - P.1112

今月の文書
電話コンサルテーション
セッティング:病院ER→専門医へ電話コンサルテーション(ERでの診察依頼)
患者:58歳、男性。前日夕食後から腹痛が増強し、日勤帯のERを受診して「急性胆囊炎」と診断された。
【登場人物】
桜井:臨床研修医2年目。ER当番。
生駒:総合診療専攻医2年目。ER当番。
飛鳥:総合診療科医師。桜井・生駒の指導医。
尾中:消化器外科医。今日はER電話担当。

素人漢方のススメ|感染症編・9

—第4章│慢性炎症性疾患❶—慢性感染症と漢方治療

著者: 鍋島茂樹

ページ範囲:P.1113 - P.1115

 今月からは慢性感染症を含む慢性炎症性疾患について解説します。慢性感染症は抗菌薬のみでは治癒が期待できない疾患が多く、補助としてあるいはメインの治療として漢方が有効です。

オール沖縄!カンファレンス|レジデントの対応と指導医の考えVer.2.0・45

繰り返す脳梗塞の原因を探る!

著者: 金城彰汰 ,   城本高志 ,   相澤直輝 ,   徳田安春

ページ範囲:P.1116 - P.1120

CASE
患者:69歳、女性。
主訴:ふらつき、傾眠傾向。
現病歴:来院前日の夕方頃、シャワーを浴びている際にふらつきが出現した。寝れば良くなると思い入眠したが、翌日起床後も改善せず、傾眠傾向も出現したため救急受診となる。家族に付き添われ、車椅子で診察室に入室した。
既往歴:脳梗塞での入院歴2回(詳細不明)。高血圧なし、糖尿病なし、脂質異常症なし。
嗜好歴:喫煙;なし、飲酒;機会飲酒。
内服薬:アスピリン100mg。
家族歴:特記事項なし。
アレルギー歴:特記事項なし。
ROS:冷汗(-)、寒気(-)、悪寒(-)、振戦(-)、頭痛(-)、鼻水(-)、咳嗽(-)、痰(-)、胸痛(-)、呼吸困難(-)、咽頭痛(-)、腹痛(-)、悪心(+)、嘔吐(-)、下痢(-)、便秘(-)、頻尿(-)、排尿時痛(-)、残尿感(-)、血尿(-)、関節痛(-)、黒色便(-)、潜血便(-)。

【エッセイ】アスクレピオスの杖—想い出の診療録・6

総合診療医としての原点

著者: 森川暢

ページ範囲:P.1121 - P.1121

本連載は、毎月替わる著者が、これまでの診療で心に残る患者さんとの出会いや、人生を変えた出来事を、エッセイにまとめてお届けします。

Dr.上田剛士のエビデンス実践レクチャー!医学と日常の狭間で|患者さんからの素朴な質問にどう答える?・6

おならがよく出て困ります

著者: 上田剛士

ページ範囲:P.1134 - P.1137

患者さんからのふとした質問に答えられないことはないでしょうか? 素朴な疑問ほど回答が難しいものはないですが、新たな気づきをもたらす良問も多いのではないでしょうか? 本連載では素朴な疑問に、文献的根拠を提示しながらお答えします!

総合診療専門医セルフトレーニング問題・28

お腹が張って辛い64歳男性

著者: 家研也

ページ範囲:P.1138 - P.1142

セッティング
都市部にある300床規模の総合病院。総合診療科には指導医と専攻医が数名ずつ在籍し、内科疾患を中心に幅広い診療範囲を担当している。
指導医であるあなたは、医師4年目専攻医との振り返りの時間に、最近外来で診察し、現在入院担当中の患者について相談を受けている。

“JOY”of the World!|ロールモデル百花繚乱・9

性差医学・女性外来に取り組んで

著者: 天野惠子

ページ範囲:P.1143 - P.1147

 2020年11月で満78歳になります。1967年に医学部を卒業してから、ほぼ53年医師として働いてきました(表1)。
 私が大学に入った1961年の18歳人口は1,895,967人でした。男子の4年制大学進学率は15.4%、女子は3.0%でした。女子は高校を卒業したら、花嫁修業をし、良い結婚相手を見つけることが常識とされていた時代です。
 医学部卒業後、インターン期間の1年を経て、1968年に医師免許を取得しました。当時の全国医師数は、113,630人(男性は102,955人、女性は10,675人)、男性医師と女性医師の比が10:1という時代でした。
 今では(2017年度)、男子の55.9%・女子の49.1%が4年制大学へ進学しています(男女共同参画白書 平成30年版、内閣府)。また、2018年の全国医師数は327,210人(男性255,452人、女性71,758人)で、女性医師が全体の22%を占めています(平成30年 医師・歯科医師・薬剤師統計、厚労省)。政府が掲げた男女共同参画の旗印のもと、保守的と言われる医学界でも男女の働き方に変化が表れつつあります。
 自分自身の医師としての道程を振り返ってみた時に、あまりに時代が違いますので、私の経験が現代の若い女性医師の方々にどれほどお役に立てるかわかりませんが、本稿が少しでも生きるヒントになることがあれば嬉しく思います。

55歳からの家庭医療 Season 2|明日から地域で働く技術とエビデンス・34

—家庭医療における「回復」の構造❶—HEALING LANDSCAPE

著者: 藤沼康樹

ページ範囲:P.1148 - P.1152

「病気が治る」とは別の回復
 診断・治療という基本的な医師の業務は、病因を除去したり症状を抑えたりするような、ある種の攻撃的な性質があり、ロールプレイングゲームにおける“黒魔導士”のような役割があります。一方、「生命力の消耗を最小限にする」という看護師業務の基本プリンシプルは、あえていえば“白魔導士”のそれと言えるかもしれません。しかし、昨今の地域医療の現場においては、そうした役割分担の境界はだんだん曖昧になっており、多職種の業務はオーバーラップするところがあり、また職業的アイデンティティを支えるプリンシプルも変化してきていると言えるでしょう。

【臨床小説】後悔しない医者|あの日できなかった決断・第6話

遠くを見られる医者

著者: 國松淳和

ページ範囲:P.1154 - P.1159

前回までのあらすじ 今月のナゾ
 内科ローテーションの初日、救急から引き継いだあの患者さんが亡くなってしまった。担当の後期研修医・栗塚は「なんとなく」嫌な気はしていたが、その患者の容体は悪化の一途をたどり、対応はすべて少しずつ後手に回ってしまった。三尖弁の感染性心内膜炎(IE)という診断も、治療にも間違いはなかったのになぜ? 右心系IEの原因は? しかも患者は、筧の旧友だった。「紘乃、戻ってきて!」。筧の叫びもむなしく患者は亡くなってしまったはずだったが…。
 臨床の「なんとなく変」「何かがおかしい」を言葉にするのは難しい。それに今時、根拠のないことを口にするのははばかられる。でも、その違和感や直感が、患者を救うこともある。「基準はどうでもいい」と黒野は言う。「なんとなく」をどうすればよいのか? そして、黒野に見えていて、栗塚に見えていなかったこととは?

投稿 GM Clinical Pictures

特に糖尿病患者で注意が必要な重症尿路感染症

著者: 梶原祐策

ページ範囲:P.1123 - P.1125

CASE
患者:87歳、女性。
現病歴:2型糖尿病(HbA1c 8.2%)と高血圧、Alzheimer型認知症(HDS-R 12点)で当院に通院中。昨日から背部痛、今朝から発熱や嘔吐もあるため当科を緊急受診した。
既往歴:胆囊摘出術後。
身体所見:身長147.0cm、体重50.1kg、体温38.6℃、脈拍数96回/分、血圧136/76mmHg、SpO2 94%(room air)。不穏気味で指示が入らず、詳細な身体診察は困難だった。
検査所見:白血球数減少(2,600/μL)・核の左方移動(好中球分画90.1%)とCRP高値(18.08mg/dL)に加え、血小板数減少(10.2×104/μL)とプロカルシトニン半定量が測定値上限(10ng/mL)以上であったことから、重症細菌感染症の存在が示唆された。また、肝機能は正常であったが、血清Cr値は1.15mg/dL(ベースラインは0.78mg/dL)と上昇し、尿検査で尿ケトン体は陰性であったものの、膿尿(白血球数100以上/HPF)および細菌尿(細菌3+)を認めた。なお、インフルエンザの迅速検査は陰性だった。
画像所見:腹部〜骨盤部単純CT(図1)。

#総合診療

#今月の特集関連本

ページ範囲:P.1087 - P.1087

#今月の特集関連本

ページ範囲:P.1127 - P.1129

#医学書院の新刊

ページ範囲:P.1131 - P.1131

#書評:—《ジェネラリストBOOKS》—整形画像読影道場

著者: 平島修

ページ範囲:P.1132 - P.1132

 思わず一気読みしてしまった。
 私が仲田和正先生(の本)に出会ったのは15年前医師になってすぐの研修医時代。年間1万台の救急搬送を受け入れる研修病院の救急室で週に2回の当直業務をこなしていた時に、同僚の研修医が「とてもわかりやすい本が出た!」と騒いで持ってきた。当時、整形外科学といった堅い医学の本はあっても臨床現場との乖離があり、実践で活かせる本はほとんどなく、仲田先生の著書『手・足・腰診療スキルアップ』(シービーアール、2004)は、これまでの医学書作法の常識をひっくり返すような明快でユーモアに富んだ本だった。なかでも、漫画『おそ松くん』に登場するイヤミがシェーのポーズをしたイラストを用いた、アキレス腱断裂の解説は15年経った今でも頭を離れない。

#書評:不明熱・不明炎症レジデントマニュアル

著者: 鈴木富雄

ページ範囲:P.1133 - P.1133

 本書の「序」は、次の文章で始まる。
 不明熱の臨床はざっくりと次の2つの問題を内包しています。

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目次

ページ範囲:P.1038 - P.1039

『総合診療』編集方針

ページ範囲:P.1045 - P.1045

 1991年に創刊した弊誌は、2015年に『JIM』より『総合診療』に誌名を変更いたしました。その後も高齢化はさらに進み、社会構造や価値観、さらなる科学技術の進歩など、日本の医療を取り巻く状況は刻々と変化し続けています。地域医療の真価が問われ、ジェネラルに診ることがいっそう求められる時代となり、ますます「総合診療」への期待が高まってきました。これまで以上に多岐にわたる知識・技術、そして思想・価値観の共有が必要とされています。そこで弊誌は、さらなる誌面の充実を図るべく、2017年にリニューアルをいたしました。本誌は、今後も下記の「編集方針」のもと、既存の価値にとらわれることなく、また診療現場からの要請に応え、読者ならびに執筆者のみなさまとともに、日本の総合診療の新たな未来を切り拓いていく所存です。
2018年1月  『総合診療』編集委員会

読者アンケート

ページ範囲:P.1153 - P.1153

『総合診療』バックナンバーのご案内

ページ範囲:P.1160 - P.1161

お得な年間購読のご案内

ページ範囲:P.1161 - P.1162

次号予告

ページ範囲:P.1163 - P.1164

基本情報

総合診療

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 2188-806X

印刷版ISSN 2188-8051

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バックナンバー

33巻12号(2023年12月発行)

特集 海の外へ渡る航行者を診る—アウトバウンドにまつわるetc.

33巻11号(2023年11月発行)

特集 —続・総合診療外来に“実装”したい—最新エビデンスMy Best 3

33巻10号(2023年10月発行)

特集 ○×クイズ110問!日常診療アップグレード—Choosing WiselyとHigh Value Careを学ぼう

33巻9号(2023年9月発行)

特集 ジェネラリストのための「発達障害(神経発達症)」入門

33巻8号(2023年8月発行)

特集 都市のプライマリ・ケア—「見えにくい」を「見えやすく」

33巻7号(2023年7月発行)

特集 “消去法”で考え直す「抗菌薬選択」のセオリー—広域に考え、狭域に始める

33巻6号(2023年6月発行)

特集 知っておくべき!モノクロな薬たち(注:モノクローナル抗体の話ですよ〜)

33巻5号(2023年5月発行)

特集 —疾患別“イルネススクリプト”で学ぶ—「腹痛診療」を磨き上げる22症例

33巻4号(2023年4月発行)

特集 救急対応ドリル—外来から在宅までの60問!

33巻3号(2023年3月発行)

特集 —自信がもてるようになる!—エビデンスに基づく「糖尿病診療」大全—新薬からトピックスまで

33巻2号(2023年2月発行)

特集 しびれQ&A—ビビッとシビれるクリニカルパール付き!

33巻1号(2023年1月発行)

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32巻12号(2022年12月発行)

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32巻11号(2022年11月発行)

特集 不定愁訴にしない“MUS”診療—病態からマネジメントまで

32巻10号(2022年10月発行)

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32巻9号(2022年9月発行)

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32巻8号(2022年8月発行)

特集 こんなところも!“ちょいあて”エコー—POCUSお役立ちTips!

32巻7号(2022年7月発行)

特集 —どうせやせない!? やせなきゃいけない??苦手克服!—「肥満」との向き合い方講座

32巻6号(2022年6月発行)

特集 総合診療外来に“実装”したい最新エビデンス—My Best 3

32巻5号(2022年5月発行)

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32巻4号(2022年4月発行)

特集 えっ、これも!? 知っておきたい! 意外なアレルギー疾患

32巻3号(2022年3月発行)

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32巻2号(2022年2月発行)

特集 —withコロナ—かぜ診療の心得アップデート

32巻1号(2022年1月発行)

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31巻9号(2021年9月発行)

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31巻1号(2021年1月発行)

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30巻10号(2020年10月発行)

特集 —ポリファーマシーを回避する—エビデンスに基づく非薬物療法のススメ

30巻9号(2020年9月発行)

特集 いつ手術・インターベンションに送るの?|今でしょ! 今じゃないでしょ! 今のジョーシキ!【感染症・内分泌・整形外科 編】

30巻8号(2020年8月発行)

特集 マイナーエマージェンシー門外放出—知っておくと役立つ! テクニック集

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特集 大便強ドリル—便秘・下痢・腹痛・消化器疾患に強くなる41問!

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特集 これではアカンで!こどもの診療—ハマりがちな11のピットフォール

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特集 いつ手術・インターベンションに送るの?|今でしょ! 今じゃないでしょ! 今のジョーシキ!【循環器・消化器・神経疾患編】

30巻1号(2020年1月発行)

特集 総合診療医の“若手ロールモデル”を紹介します!—私たちはどう生きるか

27巻12号(2017年12月発行)

特集 小児診療“苦手”克服!!—劇的Before & After

27巻11号(2017年11月発行)

特集 今そこにある、ファミリー・バイオレンス|Violence and Health

27巻10号(2017年10月発行)

特集 めまいがするんです!─特別付録Web動画付

27巻9号(2017年9月発行)

特集 うつより多い「不安」の診かた—患者も医師も安らぎたい

27巻8号(2017年8月発行)

特集 見逃しやすい内分泌疾患─このキーワード、この所見で診断する!

27巻7号(2017年7月発行)

特集 感染症を病歴と診察だけで診断する!Part 3 カリスマ編

27巻6号(2017年6月発行)

特集 「地域を診る医者」最強の養成法!

27巻5号(2017年5月発行)

特集 コミュニケーションを処方する—ユマニチュードもオープンダイアローグも入ってます!

27巻4号(2017年4月発行)

特集 病歴と診察で診断できない発熱!—その謎の賢い解き方を伝授します。

27巻3号(2017年3月発行)

特集 これがホントに必要な薬40—総合診療医の外来自家薬籠

27巻2号(2017年2月発行)

特集 The総合診療ベーシックス—白熱!「総合診療フェスin OKINAWA」ライブ・レクチャー! 一挙公開 フィジカル動画付!

27巻1号(2017年1月発行)

特集 総合診療の“夜明け”—キーマンが語り尽くした「来し方、行く末」

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