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文献詳細

雑誌文献

総合診療31巻1号

2021年01月発行

文献概要

特別増大特集 新型コロナウイルス・パンデミック—今こそ知っておきたいこと、そして考えるべき未来 [Ⅲ章] 「ヘルスケアシステム」や「社会」は構造的にどう変わったか、変わっていくか

—「文化人類学」の視点から—医療施設の「面会制限」は何を守っているのか?—出会いと交流の空間試論

著者: 磯野真穂1

所属機関: 1慶應義塾大学大学院 健康マネジメント研究科

ページ範囲:P.74 - P.77

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 コロナ禍においては、人と人が1つの場に集うことが危険とみなされ、出会いと交流の場は次々に「オンライン」に移行した。それが最も顕著なのは、医療施設と介護施設である。「家族であっても面会できない」「許されても15分」「たまたま濃厚接触者になってしまったので、面会はおろか居室から出ることも許されない」といった話をこれまで耳にした。
 このような状況は、時に否定的に捉えられる。たとえば、在宅緩和ケア医の新城拓也1)は、「新型コロナウイルスで緩和ケアは自殺したのではないか? 医療者は、死者の権利を冒涜している」という記事をBuzz Feed Japan Medicalに寄稿した(2020年6月13日)。このなかで新城は、緩和医療で推進されるタブレット端末による面会は「実際に顔を触り、手を握り、体をさすり声をかけることに比べれば、比べるに値しないのは当たり前です」と述べ、感染対策を掲げて面会を禁ずる今の状況を「死者の権利を冒涜している」とさえ思うと告白する。

参考文献

1)新城拓也:新型コロナウイルスで緩和ケアは自殺したのではないか? 医療者は,死者の権利を冒涜している.BuzzFeed Japan Medical, 2020. https://www.buzzfeed.com/jp/takuyashinjo/covid-19-palliative-care
2)宮野真生子,磯野真穂:急に具合が悪くなる.晶文社,2019. 〈p.105〉
3)木村大治:対面信仰.TURNジャーナル AUTUMN 5:8, 2020. https://turn-project.com/wp/wp-content/uploads/2020/11/TJ05_all_fix.pdf
4)西井涼子,田辺繁治(編):社会空間の人類学—マテリアリティ・主体・モダニティ.世界思想社,2006.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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