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文献詳細

雑誌文献

総合診療31巻10号

2021年10月発行

文献概要

What's your diagnosis?[226]

真昼の釈迦牟尼

著者: 榎本悠里1 河村裕美1 杉本雪乃1 大矢亮1 藤本卓司1

所属機関: 1耳原総合病院 救急総合診療科

ページ範囲:P.1204 - P.1209

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病歴
患者:18歳、男性
主訴:歩行障害、足のしびれ
現病歴:機械工場に就職1年目。入院2日前から現場実習が始まり、しゃがんだ姿勢で1時間ホースをひたすら結束バンドで巻く仕事をした。作業終了後、右足首より末梢がしびれていることに気づいたが、運動機能に問題はなかった。翌日、職場で習慣となっている縄跳びをした後、休憩の1時間以外、計6時間同様の作業をした。その後、右足は前日と同様の範囲にしびれが持続し、背屈ができなくなった。左足も右足と同範囲にしびれが出現したが、歩行はできた。入院当日、症状が持続し、歩くとすぐ転げて縄跳びも跳べなくなったため、近医を受診し、精査目的で当院紹介となった。
ROS陰性:腰痛、臀部痛、尿閉、尿失禁、便秘、インポテンツ、先行感染、外傷
既往歴:アトピー性皮膚炎、右膝内側側副靱帯損傷・左分裂膝蓋骨(3年前、保存的)
常用薬:アンテベート®、保湿剤塗布
生活歴:10歳から現在までバドミントンクラブに所属し熱心に活動

参考文献

1)Sipahioğlu S, et al : Peroneal nerve palsy secondary to prolonged squatting in seasonal farmworkers. Acta Orthop Traumatol Turc 49(1) : 45-50, 2015. PMID 25803253 〈農作業中の蹲踞姿勢による腓骨神経麻痺。神経剝離術についての議論〉
2)Yu JK, et al : Clinical characteristics of peroneal nerve palsy by posture. J Korean Neurosurg Soc 53(5) : 269-273, 2013. PMID 23908699 〈腓骨神経麻痺とL5神経根症との鑑別、神経伝導検査による機能予後の評価。神経剝離術による改善率の検討〉
3)Park JH,et al : Unusual variant of distal biceps femoris muscle associated with common peroneal entrapment neuropathy ; a cadaveric case report. Medicine(Baltimore)97(38) : e12274, 2018. PMID 30235672 〈膝窩トンネルでの絞扼を病理解剖で実際に証明〉
4)Fabre T, et al : Peroneal nerve entrapment. J Bone Joint Surg Am 80(1) : 47-53, 1998. PMID 9469308 〈スポーツ選手の下肢筋発達によって腓骨神経が腓骨トンネル入口部の線維束に圧迫された例。Tinel's signの有用性〉
5)原政人,他:末梢神経疾患の鑑別診断と手術適応・将来展望.脳神経外科ジャーナル27(4) : 300-306, 2018. 〈L5神経根症との鑑別〉
6)橘滋國:患者語を読み解く—誰も教えてくれない患者語で語られる神経徴候の解説.脊髄外科28(1) : 24-28, 2014. 〈深腓骨神経が長趾伸筋により絞扼を受けることを説明〉
7)青島宏枝,他:蹲踞姿勢により生じた総腓骨神経麻痺の1例.脊髄外科46(7) : 876-877, 1995-7. 〈蹲踞による前脛骨筋区画内圧の上昇を証明〉

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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