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文献詳細

雑誌文献

総合診療31巻10号

2021年10月発行

文献概要

特集 医師の働き方改革—システムとマインドセットを変えよう! 【360度 働き方改革】医師の視点から見る働き方改革

⓮産婦人科医から見る働き方改革

著者: 鈴木幸雄12

所属機関: 1コロンビア大学メディカルセンター産婦人科 2横浜市立大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.1273 - P.1276

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 産婦人科は働き方改革を実質的に進めていくうえで、医療提供体制の再構築という大きな課題を抱えている。われわれは生命の誕生を支えるインフラの役割を担っており、24時間体制の産婦人科診療を支えるために、若手、中堅、ベテランを問わず、限界を超えて働いているのが現状である。医師の過剰な労働量によって調整されてきてしまった提供体制を、今後は他の方法で守っていかなければならない。
 医師の働き方改革の本質は「患者のwell-being」であり、それを実現するためには「医師のwell-being」1)が前提となるが、この認識はまだまだ不十分だ。現状の働き方では、客観的には過剰労働となっていても、個人や施設の使命感で何とか乗り切っている状況であり、長時間労働をしていても、「自分は何とかなっている」と主観的に判断してしまう医師も少なくない。私も以前まではその1人であったと自認している。

参考文献

1)Brigham T, et al : A Journey to Construct an All-Encompassing Conceptual Model of Factors Affecting Clinician Well-Being and Resilience. NAM Perspectives. Discussion Paper, National Academy of Medicine, Washington, DC. 2018. 〈全米医学アカデミーが提唱する医師の働き方に関する指針〉
2)ACOG Committee Opinion No.730 : fatigue and patient safety. Obstet Gynecol 131(2) : e78-e81, 2018. PMID 29370048 〈働き方(疲労)が診療の質を低下させるリスクを加味して診療にあたるべきことが診療ガイドラインに明記されている〉
3)Accreditation Council for Graduate Medical Education ; Obstetrics and Gynecology, Program Requirements and FAQs. 2020. https://www.acgme.org/ 〈米国の卒後臨床教育機構では、厳格な勤務時間規制を研修プログラム毎に設定している〉
4)Balch CM, et al : Surgeon distress as calibrated by hours worked and nights on call. J Am Coll Surg 211(5) : 609-619, 2010. PMID 20851643 〈外科医が長時間労働や週当たり複数回夜勤を行う場合の医師自身もしくは患者アウトカムへの影響を示した論文〉
5)New York state health data. https://health.data.ny.gov/

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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