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特集 肺炎診療のピットフォール—COVID-19から肺炎ミミックまで 【感染性肺炎の合併症と鑑別疾患】
❸肺血栓塞栓症
著者: 巴崇1 志水太郎1
所属機関: 1獨協医科大学総合診療医学・総合診療科
ページ範囲:P.199 - P.202
文献購入ページに移動肺炎加療中に見つかった肺血栓塞栓症の1例
患者:19歳、女性。
既往歴:気管支喘息、強皮症疑い。
現病歴:入院2日前に咳嗽あり、入院1日前に左胸痛も出現し前医を受診。左肺炎、胸膜炎を指摘され、当院呼吸器内科紹介受診となり、胸部CT検査で左下葉に浸潤影(図1)を認め、採血検査でもWBC 16.80×109/μL、Neut 78%、CRP 6.88mg/dLと、肺炎による変化とも矛盾しない結果であり、肺炎、胸膜炎の診断で同日緊急入院となった。抗菌薬加療開始となり、浸潤影、炎症反応などは改善した(図2)。一方、入院時のD-dimer 17.9μg/mLという値は入院6日目になっても改善が乏しく、フィブリノーゲンが50μg/mLと著明に低下していたことから、DIC(播種性血管内凝固症候群)を起こしていると判断され、低分子ヘパリンの投与が開始された。また入院14日目に深部静脈血栓症の鑑別のために下肢静脈エコーを施行したところ、血栓が左総大腿静脈からヒラメ静脈で見つかり、深部静脈血栓症の加療目的に当院循環器内科へコンサルトとなった。肺血栓塞栓症精査目的に造影CT検査を施行し、左肺動脈内に血栓を認め(図3)、肺血栓塞栓症の診断となった。
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