icon fsr

文献詳細

雑誌文献

総合診療31巻2号

2021年02月発行

文献概要

特集 肺炎診療のピットフォール—COVID-19から肺炎ミミックまで 【感染性肺炎と紛らわしい病態】

❸膠原病に伴う肺疾患

著者: 栗原健1

所属機関: 1浦添総合病院 病院総合内科

ページ範囲:P.213 - P.216

文献購入ページに移動
ピットフォールCase
患者:78歳、男性。
主訴:呼吸困難。
現病歴:呼吸困難のため入院。呼吸困難は来院2週間前から徐々に増悪していた。来院時、体温38.2℃、血圧120/56mmHg、心拍数110回/分、呼吸数24回/分、SpO2 90%(2Lカヌラ)であった。血液検査ではWBCやCRPの炎症反応の上昇があり、胸部単純X線写真でも右下肺野に浸潤影があった。これらの結果から、細菌性肺炎と診断し、セフトリアキソンとアジスロマイシンによる加療を開始し、入院となった。入院4日目の血液検査や胸部X線写真では改善がなく、呼吸数やSpO2の改善も乏しく、むしろ増悪傾向になっていた。担当医は上級医に相談し、もう一度診断を見直すこととした。
身体診察のとり直し:両側背部から捻髪音を聴取した。手指を確認すると、機械工の手(図1)やGottron徴候を認めた。病歴を再度聴取すると、1カ月前から徐々に筋痛が出現し、歩行困難となっていた。本人曰く「(筋痛については)聞かれておらず、肺炎と言われたから関係ないと思った」とのこと。すぐに胸部CTを撮影したところ、両側すりガラス陰影(ground glass opacities : GGO)や網状影を認め、病歴や身体所見から、皮膚筋炎による間質性肺炎を疑い、ステロイドを含む集学的加療を行ったが、治療4日目に死亡した。後に判明した血液検査では、抗MDA5抗体が陽性となっていた。

参考文献

1)Black AD : Non-infectious mimics of community-acquired pneumonia. Pneumonia(Nathan)8 : 2, 2016. PMID 28702282
2)日本呼吸器学会,他(編):膠原病に伴う間質性肺疾患 診断・治療指針 2020.日本呼吸器学会,2020.
3)Tanizawa K, et al : HRCT features of interstitial lung disease in dermatomyositis with anti-CADM-140 antibody. Respir Med 105(9) : 1380-1387, 2011. PMID 21632230
4)Gómez-Puerta JA, et al : Antineutrophil cytoplasmic antibody-associated vasculitides and respiratory disease. Chest 136(4) : 1101-1111, 2009. PMID 19809051
5)Pope-Harman AL, et al : Acute eosinophilic pneumonia ; a summary of 15 cases and review of the literature. Medicine(Baltimore) 75(6) : 334-342, 1996. PMID 8982150
6)Lazor R, et al : Cryptogenic organizing pneumonia ; characteristics of relapses in a series of 48 patients ; the Groupe d'Etudes et de Recherche sur les Maladles “Orphelines” Pulmonaires(GERM“O”P). Am J Respir Crit Care Med 162(2 pt 1) : 571-577, 2000. PMID 10934089
7)高柳昇,他:関節リウマチに合併した肺感染症の検討.日呼吸会誌 45(6) : 465-473, 2007.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?