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文献詳細

雑誌文献

総合診療31巻3号

2021年03月発行

文献概要

特集 ライフステージでみる女性診療at a glance!—よくあるプロブレムを網羅しピンポイントで答えます。 【Ⅱ章】ライフステージ別 よくあるプロブレム ▼更年期以降(60代以降)

コラム|“サクセスフル・エイジング”のサポート

著者: 海原純子1

所属機関: 1日本医科大学

ページ範囲:P.345 - P.346

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Q1 更年期以降を「健やか」に生きるために必要なことは?
Case
患者:70歳、女性。専業主婦。
既往歴:特記事項なし
現病歴:1年前に10歳年上の夫を亡くし、現在は1人暮らし。子ども2人は独立して近くに住んでおり交流がある。これまで夫の世話や家事に追われてきたので「これからは自由に楽しもう」と思っていたが、億劫で疲れやすく、体力的な衰えを最近感じている。友人もいるが、最近は会って話したり外食する機会もなくなり、楽しいことがなくなってきた。家事などをしても喜んでくれる人がいなくなり、自分が無価値に感じられるようになる。
 対策として、生活のなかで自分が熱中できることを見つけ、そのことで自己肯定感を高めることを提案した。文章を書くことをはじめ、オンラインで書き方教室などに参加して交流する仲間もでき、気持ちが変化しつつある。

参考文献

1)Depp C, et al : Successful aging ; focus on cognitive and emotional health. Annu Rev Clin Psychol 6 : 527-550, 2010. PMID 20192798 〈幸せな老後を決定する要因として、「カロリー制限」「適度な運動」「認知行動療法的介入」「ストレス軽減」「社会活動」「つながりづくり」などの役割が重要になることについての報告。身体的な側面だけでなく、心理的かつ社会との関わりという幅広い視点から、高齢者の幸福感について研究している〉
2)Wirtz D, et al : What constitutes a good life? cultural differences in the role of positive and negative affect in subjective well-being. J Pers 77(4) : 1167-1196, 2009. PMID 19558439 〈アジア系の人は欧米諸国の人よりもwell-beingが低い傾向があり、これは文化的な背景、つまり「楽しむ」ということに対する意識の差が影響しているのではないかと考察し、休息や友人との関わりについての文化差を考慮する必要性を述べている〉
3)Brown DS, et al : Using health-related quality of life and quality-adjusted life expectancy for effective public health surveillance and prevention. Expert Rev Pharmacoecon Outcomes Res 13(4) : 425-427, 2013. PMID 23977969 〈well-beingの要素を、「死のリスク」「生活の質」「健康状態の安定性」などを含む包括的な概念からとらえる必要性について言及している。つまり、健康の要素として、重度の病気による機能障害の影響だけでなく、日常生活の活動や人との交流などによる「楽しみ」の継続や安定性を考慮するというものである〉

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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