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特集 新時代の「在宅医療」—先進的プラクティスと最新テクノロジー 【各論Ⅱ】各地の先進的実践事例集
エコー以外の「ポイントオブケア検査」—発熱時の感染症診療の原則
著者: 小野正博12
所属機関: 1福島県立宮下病院 内科 2福島県立医科大学会津医療センター 総合内科
ページ範囲:P.856 - P.859
文献購入ページに移動急性の発熱をきたした超高齢者の一例
患者:91歳、女性
現病歴:3年前、多発性骨髄腫と診断されたが、化学療法は行わない方針となっていた。1カ月前、高カルシウム血症による意識障害のため入院。点滴後意識状態は改善したが、貧血・腎障害は悪化した。自宅で看取る方針となり、1週間前に自宅退院、訪問診療・訪問看護を導入した。
3日前より38℃台の発熱出現。バイタルサインは、意識レベルJCS(Japan Coma Scale)3〜10、呼吸数20回/分、脈拍数96回/分、血圧112/60mmHg、SpO2 95%(室内気)、体温38.0℃。身体所見は、結膜;貧血あり、頸部;異常所見なし、胸部;心雑音なし、肺音;清、腹部;腸雑音正常、平坦・軟、自発痛・圧痛なさそう、浮腫・皮疹;なし。新型コロナウイルス鼻咽頭抗原検査は、接触歴がないため行わなかった。尿が混濁しているとの報告があり、尿路感染を疑って「尿グラム染色」を行ったところ、グラム陰性桿菌を認めた。尿培養検体を採取後、セフトリアキソンを点滴し、解熱したためセファレキシンの内服に変更した。
本年3月末、東京から会津に移住した。福島県立宮下病院(大沼郡)に常勤医として週3日、福島県立医科大学会津医療センター(会津若松市)に非常勤医として週2日勤務している。本稿では、宮下病院に入院後、奥会津在宅医療センター(大沼郡、p.841)の訪問診療・訪問看護を導入したCaseをもとに、在宅診療における「発熱時」の検査を中心に述べる(本Caseは、実際には退院3日前の発熱であり、在宅診療時の発熱ならこうなったであろうという架空症例である)。
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