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文献詳細

雑誌文献

総合診療31巻7号

2021年07月発行

文献概要

特集 新時代の「在宅医療」—先進的プラクティスと最新テクノロジー 【各論Ⅱ】各地の先進的実践事例集

エコー以外の「ポイントオブケア検査」—発熱時の感染症診療の原則

著者: 小野正博12

所属機関: 1福島県立宮下病院 内科 2福島県立医科大学会津医療センター 総合内科

ページ範囲:P.856 - P.859

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Case
急性の発熱をきたした超高齢者の一例
患者:91歳、女性
現病歴:3年前、多発性骨髄腫と診断されたが、化学療法は行わない方針となっていた。1カ月前、高カルシウム血症による意識障害のため入院。点滴後意識状態は改善したが、貧血・腎障害は悪化した。自宅で看取る方針となり、1週間前に自宅退院、訪問診療・訪問看護を導入した。
 3日前より38℃台の発熱出現。バイタルサインは、意識レベルJCS(Japan Coma Scale)3〜10、呼吸数20回/分、脈拍数96回/分、血圧112/60mmHg、SpO2 95%(室内気)、体温38.0℃。身体所見は、結膜;貧血あり、頸部;異常所見なし、胸部;心雑音なし、肺音;清、腹部;腸雑音正常、平坦・軟、自発痛・圧痛なさそう、浮腫・皮疹;なし。新型コロナウイルス鼻咽頭抗原検査は、接触歴がないため行わなかった。尿が混濁しているとの報告があり、尿路感染を疑って「尿グラム染色」を行ったところ、グラム陰性桿菌を認めた。尿培養検体を採取後、セフトリアキソンを点滴し、解熱したためセファレキシンの内服に変更した。
 本年3月末、東京から会津に移住した。福島県立宮下病院(大沼郡)に常勤医として週3日、福島県立医科大学会津医療センター(会津若松市)に非常勤医として週2日勤務している。本稿では、宮下病院に入院後、奥会津在宅医療センター(大沼郡、p.841)の訪問診療・訪問看護を導入したCaseをもとに、在宅診療における「発熱時」の検査を中心に述べる(本Caseは、実際には退院3日前の発熱であり、在宅診療時の発熱ならこうなったであろうという架空症例である)。

参考文献

1)青木眞:レジデントのための感染症診療マニュアル 第4版.pp1-38,医学書院,2020. 〈感染症診療のバイブル。2000年に初版が出て、感染症はもとより日本の医療のレベルが一気に上がったと思う。第1章「感染症診療の基本原則」と第6章「特殊な発熱患者へのアプローチ」をまず読むのがお勧め。p.904〉
2)藤本卓司:感染症レジデントマニュアル 第2版,pp30-35,医学書院,2013. 〈身体診察にも詳しい。感染症の基本書として全頁を読破してほしい。p.904〉

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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