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文献詳細

雑誌文献

総合診療32巻1号

2022年01月発行

文献概要

What's your diagnosis?[229]

解毒薬はやめてください

著者: 関灘大輔1 妻鹿旭1 北村大1 浜田禅1 風間亮1 小川吉彦1 浅川麻里1

所属機関: 1堺市立総合医療センター 内科統括部

ページ範囲:P.14 - P.18

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病歴
患者:75歳、男性
主訴:嘔吐
現病歴:X-4年に胃体部癌に対して、胃幽門切除術(R-Y再建)を受け、X年の術後CTで総胆管結石を指摘されて消化器内科入院となった。入院2日目にダブルバルーン内視鏡で結石除去を施行した際に、後腹膜に穿通を生じた。後腹膜膿瘍も認め、抗菌薬治療と後腹膜ドレナージ治療を行った。入院108日目には膿瘍の縮小と炎症反応の低下を認めたことから、抗菌薬治療およびドレナージを終了した。入院116日目の昼の経腸栄養の際に嘔気があり、経腸栄養の投与を減速していたが、夕方の経腸栄養投与後に残渣物の嘔吐を認めた。翌朝の経腸栄養投与後にも再度嘔吐を認めた。
ROS陽性:水様性下痢
ROS陰性:悪寒、腹痛、呼吸困難、めまい
併存症:高血圧症、高尿酸血症、COPD(慢性閉塞性肺疾患)
既往歴:70歳:大腸腺腫(内視鏡的粘膜切除術施行)、71歳:胃体部癌(胃幽門切除術、R-Y再建施行)、72歳:総胆管結石(内視鏡的結石除去術施行)
内服薬:酪酸菌、タンニン酸アルブミン、ロペラミド、プレガバリン、クエチアピンフマル酸塩
アレルギー:なし
嗜好歴:喫煙:past smoker 40本/日×40年、飲酒:ビール350mL/日

参考文献

1)Iwamuro M, et al:Review of the diagnosis and management of gastrointestinal bezoars. World J Gastrointest Endsc 7(4):336-345, 2015. 〈胃石の分類と原因摂取物などに関して書かれている〉
2)Kadian RS, et al:Gastric bezoars-spontaneous resolution. Am J Gastroenterol 70(1):79-82,1978. 〈胃石症の頻度や疫学について記載あり〉
3)Siddens ED, et al:Gastrointestinal obstruction secondary to enteral nutrition bezoar ; a case report. World J Gastrointest Surg 12(8):369-376, 2020. 〈経腸栄養での胃石形成を促進する因子について書かれている〉
4)Dedes KJ, et al:Postoperative bezoar ileus after early enteral feeding. J Gastrointest Surg 10(1):123-127, 2006. 〈経腸栄養後の胃石によるイレウスの両例報告。胃切後pH低下の関与〉

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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