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特集 日常診療に潜む「処方カスケード」—その症状、薬のせいではないですか? 【各論】
⓮振戦、パーキンソニズム—抗精神病薬だけではない薬剤性振戦
著者: 辻浩史1
所属機関: 1筑波大学医学医療系 神経内科
ページ範囲:P.1235 - P.1238
文献購入ページに移動振戦は、身体の一部がリズミカルに振動する不随意運動の一種である1)。患者は「手足がふるえる」、「振るえて字が書けない」、「コップの水をこぼしてしまう」などと訴え、日常生活に支障をきたすこともある。振戦をきたす疾患と言えば「Parkinson病」をまず考えるかもしれないが、甲状腺疾患など鑑別疾患は多岐にわたる(表1)。もちろん本テーマである薬剤性振戦も鑑別に挙げる必要がある(表2)。一方で、現在の国際的なParkinson病の診断基準では、運動緩慢が必須の症状であり、さらに筋強剛もしくは静止時振戦のどちらか1つが見られることがパーキンソニズムと定義されている2)。この定義に従うと、パーキンソニズムでは、必ずしも振戦が出現するとは限らないことにも注意する必要がある。振戦を診療する時は、背景病理を正しく診断・理解し、適切な治療を行うことが重要である。
参考文献
1)日本神経治療学会治療指針作成委員会(編):標準的神経治療—本態性振戦.神経治療 28(3):296-325, 2011. 〈本態性振戦のガイドラインであるが、振戦の鑑別について記載されている〉
2)Postuma RB, et al : MDS clinical diagnostic criteria for Parkinson's disease. Mov Disord 30(12) : 1591-1601, 2015. PMID 26474316 〈Parkinson病の診断基準、パーキンソニズムの定義について記載されている〉
3)宮本亮介,他:振戦.梶龍兒(編):不随意運動の診断と治療,改訂第2版.pp 66-73,診断と治療社,2016. 〈さまざまな振戦について記載されている〉
4)Morgan JC, et al : Drug-induced tremors. Lancet Neurol 4(12) : 866-876, 2005. PMID 16297844 〈本テーマである薬剤性振戦について詳細に記載されている〉
エロゾル100, 2022. 〈本CASEで取り上げたフェノテロールの副作用について記載されている〉
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