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特集 不定愁訴にしない“MUS”診療—病態からマネジメントまで 【各論Ⅲ】「身体症状症」を見定める
❷原因不明の身体症状について精神科医が総合診療医に伝えたいこと
著者: 宮岡等12
所属機関: 1北里大学(精神科) 2医薬品医療機器総合機構
ページ範囲:P.1361 - P.1362
文献購入ページに移動本特集のタイトルは「不定愁訴にしないMUS診療」である。「MUS(medically unexplained symptoms)」は、さまざまな自覚症状があり、十分な診察や検査を行っても、原因を医学的に説明できない状態であると考えられる。過去の身体医学は、このような状態に対して「自律神経失調症」「不定愁訴症候群」、さらには専門学会の定義を軽視して「心身症」などと呼んできた。このような状態の多くは、自覚症状を主とする診断の曖昧さや期待される治療効果にばらつきはあるものの、精神医学からみれば「心気症」「身体化障害」「身体症状症(p.1298・1302・1333・1358)」など何らかの診断がつけられてきた。しかし、精神科診断基準の改訂に伴い診断名が頻回に変わる、精神科医が身体症状を診察したがらない、精神医学への偏見などが影響して、“自覚的な身体症状を主とする精神疾患”の精神医学は十分に議論されず、あるいは軽視され、身体医学の側から独自に診断名がつくられてきたとも言える。最近の「MUS」や「機能性身体症候群(functional somatic syndrome:FSS)」(p.1331〜)にも同様の傾向がある。
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