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文献詳細

雑誌文献

総合診療32巻11号

2022年11月発行

文献概要

オール沖縄!カンファレンス|レジデントの対応と指導医の考えVer.2.0・70

見逃していませんか、その貧血

著者: 長嶺さつき1 上間貴仁2 知花なおみ3 徳田安春4

所属機関: 1地方独立行政法人 那覇市立病院 2地方独立行政法人 那覇市立病院 腎・リウマチ科 3地方独立行政法人 那覇市立病院 総合内科 4臨床研修病院群プロジェクト群星沖縄センター

ページ範囲:P.1371 - P.1375

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CASE
患者:90歳、男性。職業は元教師。
主訴:食思不振、貧血。
現病歴:X年7月からの食思不振、倦怠感、2カ月で4〜5kgの体重減少を主訴に、同年10月に近医を受診し、血液検査で大球性貧血(Hb 8.6g/dL、MCV 111.7fL)と腎機能低下(Cr 1.28mg/dL、eGFR 40.7mL/分/1.73m2)を指摘され、当院紹介受診となった。もともとゴルフができる程度の自立した生活をしていたが、X年7月からは徐々に倦怠感が強くなり、1日のほとんどをベッド上で過ごすようになっていた。当院来院時、食思不振は改善傾向であったが、体重減少を認めていた。嘔吐・下痢や腹痛、下血などの消化器症状はなく、発熱や上気道症状も認めなかった。検査を行った結果、腎性貧血を考え、ダルベポエチン アルファ30μgを投与し、かかりつけ医で治療継続する方針となった。
 その後、同年12月にトイレから立ち上がろうとした際にふらつき、背後に転倒した。腰痛があり、体動困難であったため、当院救急搬送となった。救急搬送される3週間前から再度食思不振と倦怠感があり、普段行っていた庭作業も息切れが起こるようになっていたとのこと。
既往歴:慢性腎臓病、脂質異常症、前立腺肥大症、大動脈弁狭窄症、胆囊摘出術後、慢性便秘症。
鉄欠乏なし、葉酸欠乏なし。上部消化管内視鏡検査にて悪性所見・潰瘍なし。
薬剤歴:メコバラミン0.5mg 1回1錠・1日3回(毎食後)、葉酸5mg 1回1錠・1日3回(毎食後)、フェノフィブラート80mg 1回1錠・1日1回(朝食後)、タムスロシン0.2mg 1回1錠・1日1回(朝食後)、ルビプロストン12μg 1回1cp・1日2回(朝・夕食後)、クエン酸第一鉄ナトリウム50mg 1回1錠・1日1回(朝食後)、ベンフォチアミン・B6・B12配合剤カプセル1回1cp・1日3回(毎食後)。
アレルギー:薬なし、食物なし。
生活歴:喫煙:13本/日(20歳〜)、飲酒:X年10月から禁酒。ADLは独歩可能、X年7月まではゴルフをしていた。

参考文献

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5)堺田惠美子:多発性骨髄腫の初期診断と外来治療/マネジメント.日内会誌111:1384-1391, 2022.
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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