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文献詳細

雑誌文献

総合診療32巻12号

2022年12月発行

文献概要

What's your diagnosis?[240]

統制がとれません!

著者: 古川智偉1 杉本雪乃1 大矢亮1 藤本卓司1

所属機関: 1耳原総合病院 救急総合診療科

ページ範囲:P.1430 - P.1434

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病歴
患者:アルコール依存症・肝硬変で訪問看護を利用している48歳、女性
主訴:右腕が暴れる
現病歴:入院9日前から、右前腕が自分の意思とは無関係に動くようになった。腕は肘から先が小さく揺れるように動き、時折つったようになった。頻度は1時間に1回で、1回あたり10秒ほど持続。8日前に近医で低Na血症を指摘され、毎日ビタミン入りの点滴を施行。その後も右前腕の動きは徐々に悪化。6日前には右前腕は“より大きくブンブン暴れるような”動きになり、頻度も1時間に2〜3回に増加、1回あたり20秒ほど持続。3日前より寝ている時以外、右前腕が暴れている状態になった。1日前に右上腕を自分で動かせなくなったため、当院に紹介となった。
ROS(-):発熱、寝汗、頭痛、複視、嚥下困難、構音障害、歩行障害、失神、嘔気・嘔吐、下痢
既往歴:2型糖尿病(インスリンを使用していたが、食事量低下で2カ月前より中止)、アルコール性肝硬変・アルコール依存症(2年前から)、肝性脳症・食道静脈瘤破裂(4カ月前)
内服薬:プレガバリン50mg、ラベプラゾール10mg、ナルフラフィン2.5μg、ロキソプロフェン120mg、ジクロフェナク25mg
アレルギー:レボフロキサシン、蟹、牡蠣
嗜好歴:喫煙10〜20本/日×28年。飲酒4カ月前から禁酒(過去は浴びるほど)

参考文献

1)永井知代子:舞踏運動とバリズム.日内会誌93(8):1545-1550, 2004. 〈診断基準から発症機序まで解説されている〉
2)Oh SH, et al:Chorea associated with non-ketotic hyperglycemia and hyperintensity basal ganglia lesion on T1-weighted brain MRI study ; a meta-analysis of 53 cases including four present cases. J Neurol Sci 200(1-2):57-62, 2002. PMID 12127677 〈複数の症例報告におけるMRI所見や臨床経過が紹介されている〉
3)Battisti C, et al:Two cases of hemichorea-hemiballism with nonketotic hyperglycemia ; a new point of view. Neurol Sci 30(3):179-183, 2009. PMID 19305947 〈発症時と数カ月後のMRI画像が、臨床経過と共に比較されている〉
4)玉木千里,他:勝手に手が動きます! 松村理司、他(編):診断力強化トレーニング.pp81-84,医学書院,2008. 〈京都GIMカンファレンスの症例.糖尿病性舞踏病が紹介されている〉
5)Collado-Saenz J, et al:Nonketotic hyperglycemic hemichorea. N Engl J Med 387(3):e5, 2022. PMID 35856799 〈実際の症例の動画を視ることができる〉

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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