icon fsr

文献詳細

雑誌文献

総合診療32巻2号

2022年02月発行

文献概要

特集 —withコロナ—かぜ診療の心得アップデート 【各論】

—かぜ診療の基本—❸のど型—咽頭炎

著者: 河野圭1

所属機関: 1一宮西病院 総合診療科

ページ範囲:P.174 - P.178

文献購入ページに移動
Case
のどの痛み、発熱を主訴に来院した1例
患者:24歳、女性。
現病歴:来院前日から、のどの痛みと発熱があり、救急外来を受診した。鼻汁・鼻閉や湿性咳嗽はあるが、そこまで目立たない。嚥下痛があるが、唾液は容易に飲み込めて、我慢できないほどではない。開口障害なし、嗄声なし。声質もいつもと変化はないとのこと。SARS-CoV-2 mRNAワクチンはすでに2回接種し、2週間以上経過している。未婚で1人暮らしであり、パートナーはおらず、1年ほど性交渉はない。喫煙歴なし。職業は会社員で、デスクワークが中心で営業などの接客はない。食事は会社でも自宅でも1人、多くても同僚の2人で短時間で行い、外食や渡航、故郷への帰省、人が集まるようなイベントへの参加はない。
身体所見:外観は概ね良好で、頻呼吸なし。咽頭は全体に軽度発赤・腫脹が見られるが、白苔はない。頸部リンパ節に腫脹なし。甲状腺の腫大圧痛なし。頸部に吸気性雑音は聴取されず。肺音も雑音は聞かれず。
経過:自然治癒しうる呼吸器ウイルスによる咽頭炎の可能性が高く、red flagサインがないこと、細菌性・COVID-19・伝染性単核球症・性感染症・亜急性甲状腺炎・非感染症性の緊急疾患は否定的であることから抗菌薬は処方せず、対症療法として解熱鎮痛薬を処方し、帰宅とした。しかし今後の経過で、咽頭痛の急激な増悪や嚥下困難などred flagサインが出現した場合には、すぐに受診をするように説明した。

参考文献

1)Renner B, et al : Environmental and non-infectious factors in the aetiology of pharyngitis (sore throat). Inflamm Res 61(10) : 1041-1052, 2012. PMID 22890476 〈非感染症による咽頭炎疾患がまとめられた総説〉
2)厚生労働省健康局結核感染症課(編):抗微生物薬適正使用の手引き 第2版.2019. https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000573655.pdf (2021年12月7日閲覧)
3)Bisno AL : Acute pharyngitis. N Engl J Med 344(3) : 205-211, 2001. PMID 11172144 〈急性咽頭炎の総説で、原因となる病原体ごとの症状と大体の比率の表はよく引用される〉
4)Guan WJ, et al, China Medical Treatment Expert Group for Covid-19 : Clinical characteristics of coronavirus disease 2019 in China. N Engl J Med 382(18) : 1708-1720, 2020. PMID 32109013 〈中国におけるCOVID-19の最も大きな疫学的報告〉
5)Nishihara E, et al : Clinical characteristics of 852 patients with subacute thyroiditis before treatment. Intern Med 47(8) : 725-729, 2008. PMID 18421188 〈亜急性甲状腺炎に関する日本からの大規模な報告〉

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?