総合診療32巻2号

2022年02月発行

特集 —withコロナ—かぜ診療の心得アップデート 【各論】

—かぜ症状を呈する重要疾患—❺かぜとコロナ（新型コロナウイルス感染症）の見分け方

著者： 玉井道裕¹

所属機関： ¹諏訪中央病院 総合診療科

ページ範囲：P.183 - P.187

Case
行動歴を聴取することにより、コロナを診断することができた1例
患者：55歳、男性
既往歴：高血圧
内服薬：降圧薬
現病歴：来院前日から咽頭痛と咳、微熱が出現してきた。鼻水はなく、味覚障害や嗅覚障害はなかった。来院当日、38℃台の高熱と咳が悪化したため、病院受診。
生活：喫煙なし、仕事場や家族内での流行なし。
来院時バイタルサインは、SpO₂ 95％（ambient air）、呼吸数16回/分であり、見た目は元気そうであった。症状ではかぜとコロナの区別はつかなかった。行動歴を聴取すると、来院の5日前にゴルフの打ち上げで飲み会を行っていたことがわかった。流行は目立っていなかったが、大人数との会食があり、コロナ対応として検査を提出したところ陽性であった。

参考文献

1）Peyrony O, et al : Accuracy of emergency department clinical findings for diagnosis of coronavirus disease 2019. Ann Emerg Med 76（4） : 405-412, 2020. PMID 32563600 〈救急外来を受診した人のうち、嗅覚障害や臨床医の判断、超音波で両側肺にB lineが確認された症例は新型コロナの可能性が高い〉

2）Zayet S, et al : Clinical features of COVID-19 and influenza ; a comparative study on Nord Franche-Comte cluster. Microbes Infect 22（9） : 481-488, 2020 PMID 32561409 〈インフルエンザと新型コロナの症状を比較した研究〉

3）Kurihara S, et al : Prevalence of COVID-19 mimics in the emergency department. Intern Med 60（19） : 3087-3092, 2021. PMID 34334560 〈本邦からの報告。コロナ疑いでコロナ外来を受診した症例のまとめ。最終診断がコロナの症例とコロナ以外の診断がついた症例の症状の比較〉

4）厚生労働省ホームページ：第47回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード（令和3年8月11日）；資料2-5 HER-SYS データに基づく報告． 〈月毎や性別、年齢でのコロナの症状の傾向がわかる〉

5）Brouqui P, et al : Asymptomatic hypoxia in COVID-19 is associated with poor outcome. Int J Infect Dis 102 : 233-238, 2021. PMID 33130200 〈happy hypoxemiaは予後不良な徴候の可能性がある〉

6）Shoji K, et al : Clinical characteristics of hospitalized COVID-19 in children ; report from the COVID-19 registry in Japan. J Pediatric Infect Dis Soc piab085, 2021. PMID 34487185 〈本邦の新型コロナで入院した小児症例の症状や予後の報告〉

7）松永展明，他：COVID-19に関するメディア勉強会（ウエブセミナー）—レジストリ研究解析結果，重症化を予測する液性因子について．国立国際医療研究センター，2021． 〈本邦のブレイクスルー感染者の症状の予後についての報告〉

8）国立感染症研究所：新型コロナワクチンを接種していない者における新型コロナウイルス感染の社会活動・行動リスクを検討した症例対照研究（暫定報告），2021． https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2484-idsc/10692-covid19-59.html （2021年12月7日閲覧） 〈国立感染症研究所からの報告。飲酒や会食のリスクがどれくらいかがわかり、非常に興味深い〉