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文献詳細

雑誌文献

総合診療32巻2号

2022年02月発行

文献概要

特集 —withコロナ—かぜ診療の心得アップデート 【各論】

—患者特性に応じたかぜ診療—❽高齢者のかぜ

著者: 宗像慧太1 山中克郎1

所属機関: 1福島県立医科大学 会津医療センター総合内科

ページ範囲:P.198 - P.202

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高齢者とは?
 高齢者の診療にあたり、まずは「高齢者」の定義を行う必要があります。日本内閣府が発表する高齢社会白書では65歳以上を「高齢者」と定義していますが、皆さんは「高齢者」と聞くと、どのような人物を想像するでしょうか? アニメ『ちびまる子ちゃん』に登場するさくら友蔵のような日本のテンプレ的なおじいちゃん像から、映画『カールじいさんと空飛ぶ家』に登場するカール・フレドリクセンのようなガミガミじいさんまで、さまざまな高齢者像が頭に思い浮かぶと思います。
 筆者が外来を行っている福島県立宮下病院では、外来患者の多くが80歳を超えています。そのため筆者は「高齢者」と聞くと、80〜90歳くらいを思い描いてしまいます。しかし、これは筆者の勝手な偏見ではありません。内閣府による「自分を高齢者として認識しているか」という意識調査1)では、65〜74歳では自分を高齢者と認識しているのは55.9%と、半数近くが自分を高齢者として認識していないという結果が出ています。近年の高齢者は心身の健康が保たれており、活発な社会活動が可能な人が増えてきているということから、75歳以上を新たな高齢者の定義とすることも実際に提案されています2)。65歳以上を高齢者として扱う環境は、長寿大国日本において現実的ではなくなってきており、患者層に合わせた対応を迫られています。

参考文献

1)内閣府:平成26年度 高齢者の日常生活に関する意識調査結果.2015. 〈内閣府により行われた高齢者に対する実態調査がまとまっている〉
2)甲斐一郎,他:高齢者に関する定義検討ワーキンググループ 報告書.日本老年学会・日本老年医学会,2017. 〈高齢者のライフスタイルの変化と共に、高齢者の新たな定義に関する提言をしている〉
3)Chen Y, et al : Risk factors for acute respiratory infection in the Australian community. PLoS One 9(7) : e101440, 2014. PMID 25032810 〈オーストラリアにおけるかぜとその患者層・リスクについての研究〉
4)岸田直樹,他:誰も教えてくれなかった「風邪」の診かた—感染症診療12の戦略,第2版.医学書院,2019. 〈かぜの診療について、イラストや図表とともにわかりやすく解説されている〉
5)山本舜悟(編著),吉永亮,他(著):かぜとかぜにみえる重症疾患の見わけ方 かぜ診療マニュアル 第3版(電子版付).日本医事新報社,2019. 〈かぜの診療について、自身の経験などを織り交ぜながら解説されている〉

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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