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文献概要
特集 —withコロナ—かぜ診療の心得アップデート 【各論】
—患者特性に応じたかぜ診療—❽高齢者のかぜ
著者: 宗像慧太1 山中克郎1
所属機関: 1福島県立医科大学 会津医療センター総合内科
ページ範囲:P.198 - P.202
文献購入ページに移動高齢者の診療にあたり、まずは「高齢者」の定義を行う必要があります。日本内閣府が発表する高齢社会白書では65歳以上を「高齢者」と定義していますが、皆さんは「高齢者」と聞くと、どのような人物を想像するでしょうか? アニメ『ちびまる子ちゃん』に登場するさくら友蔵のような日本のテンプレ的なおじいちゃん像から、映画『カールじいさんと空飛ぶ家』に登場するカール・フレドリクセンのようなガミガミじいさんまで、さまざまな高齢者像が頭に思い浮かぶと思います。
筆者が外来を行っている福島県立宮下病院では、外来患者の多くが80歳を超えています。そのため筆者は「高齢者」と聞くと、80〜90歳くらいを思い描いてしまいます。しかし、これは筆者の勝手な偏見ではありません。内閣府による「自分を高齢者として認識しているか」という意識調査1)では、65〜74歳では自分を高齢者と認識しているのは55.9%と、半数近くが自分を高齢者として認識していないという結果が出ています。近年の高齢者は心身の健康が保たれており、活発な社会活動が可能な人が増えてきているということから、75歳以上を新たな高齢者の定義とすることも実際に提案されています2)。65歳以上を高齢者として扱う環境は、長寿大国日本において現実的ではなくなってきており、患者層に合わせた対応を迫られています。
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