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文献詳細

雑誌文献

総合診療32巻2号

2022年02月発行

文献概要

特集 —withコロナ—かぜ診療の心得アップデート 【各論】

—患者特性に応じたかぜ診療—❿妊婦のかぜ

著者: 清川晶1

所属機関: 1日本赤十字社 大阪赤十字病院 産婦人科

ページ範囲:P.208 - P.212

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Case1
かぜと診断された1例
患者:34歳、妊娠27週5日の経産婦。
現病歴:3日前から軽度の咽頭痛、その後咳嗽が出現し、夜間咳嗽で入眠困難となったため受診。1週間前の妊婦健診で特記異常指摘なし。破水や性器出血、子宮収縮の自覚はなく、胎動良好。1週間前から3歳の第1子が発熱と咳嗽で小児科を受診し、感冒の診断で治療され、治癒傾向である。
 体温37.3℃、血圧107/56mmHg、脈拍数89回/分。咽頭発赤あり、白苔なし、頸部リンパ節腫脹・圧痛なし。両側呼吸音 清、心雑音なし。腹部は妊娠子宮で膨大しており軟。全身状態良好。かぜと診断され、麦門冬湯を常用量1日3回、3日分を処方。症状が軽快しない場合や増悪するようであれば再診するよう指示された。

参考文献

1)Kourtis AP, et al : Pregnancy and infection. N Engl J Med 370(23) : 2211-2218, 2014. PMID 24897084 〈妊娠中に感染性や重篤度が増加する、主な感染症についてのレビュー〉
2)Goldenberg RL, et al : Maternal infection and adverse fetal and neonatal outcomes. Clin Perinatol 32(3) : 523-559, 2005. PMID 16085019 〈妊娠中の感染症と胎児および新生児の有害なアウトカムについてのレビュー〉
3)妊産婦死亡症例検討評価委員会,他:母体安全への提言2019(10) : 42-47, 2020. 〈劇症型A群溶連菌感染症による妊産婦死亡低減に向けた早期医療介入法について、家族歴聴取の必要性や妊婦用に修正したcentor scoreの活用法について記載されている〉
4)日本産科婦人科学会,他(編・監):産婦人科診療ガイドライン—産科編2020.pp60-63,日本産科婦人科学会,2020. 〈ヒトで催奇形性・胎児毒性を示す明らかな証拠が報告されている代表的医薬品リストと、患者へ説明すべき内容、最新の情報へのアクセス方法についても記載されている〉
5)村島温子,他(編):薬物治療コンサルテーション—妊娠と授乳,改訂3版.南山堂,2020. 〈妊婦・授乳婦の薬物治療について、1,200種類以上の薬剤について疫学的な証拠をもとに安全性が評価されている〉
6)Acs N, et al : Maternal influenza during pregnancy and risk of congenital abnormalities in offspring. Birth Defects Res A Clin Mol Teratol 73(12) : 989-996, 2005. PMID 16323157 〈妊娠初期のインフルエンザ感染でみられる神経管閉鎖障害や心奇形は、ウイルスによる催奇形性ではなく高熱によるものであり、適切な治療により先天異常のリスクは上昇しないとする報告〉
7)診療の手引き検討委員会:新型コロナウイルス感染症COVID-19—診療の手引き,第6.0版.p53, 2021. 〈新型コロナウイルス感染症の疫学、臨床像、診断、重症度分類と管理、薬物療法、院内感染対策と退院・解除基準について記載されている〉

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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