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文献詳細

雑誌文献

総合診療32巻3号

2022年03月発行

文献概要

What's your diagnosis?[231]

ロンドンブーツ1号のほう

著者: 佐田竜一1 真辺諄1 明保洋之1 八田和大1 柏原英里子1 田川竣介1 三宅啓史1

所属機関: 1天理よろづ相談所病院 総合診療教育部

ページ範囲:P.284 - P.288

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病歴
患者:34歳、男性
主訴:めまいがして歩けない
現病歴:入院11日前まで特に症状なし。10日前から鼻汁と37℃前後の微熱を認め、本人の解釈としては「風邪気味」であった。6日前の起床後からめまいを自覚。5日前から歩行ができないほどめまいが増悪してきたため当院救急外来を受診し、頭部MRI・眼科的精査をするも異常は認めず、有事再診となった。4日前に経過を通して最強のめまいがあり、近医耳鼻科を歩いて受診し、めまい止め(詳細不明)を3剤内服するも改善に乏しかった。その後、めまいは同程度で持続していたが、長期休暇であったため、自宅で安静にしていた。しかし症状の改善がないため当院総合内科を受診し、精査目的で入院となった。めまいの性状は浮動性で、視界が揺れる感じ。焦点が合わない。頭位変換時には増悪せず、臥位から座位になった時に増悪する。立位はとれるが、視界が常に揺れるため歩行困難があるとのこと。入院時は、入院4日前のめまいを10として、6〜7程度。
ROS(+):浮動性めまい、頭痛、左眼優位の眼痛(開眼および上下方視で増悪)、耳鳴り、左優位の手の感覚鈍麻と動かしづらさ、歩行困難(やや改善傾向)
ROS(-):筋力低下、難聴、眼窩拍動、眼の裏側の雑音、嘔吐、発熱、咳嗽、喀痰、頭痛、胸痛、腹痛、排尿・排便障害
既往歴:小児喘息(現在は無治療)、アトピー性皮膚炎(現在は軽快)
アレルギー歴:なし
内服薬:なし
ペット飼育歴:なし
渡航歴:なし
sexual activity:パートナーは妻のみ、heterosexualで性風俗店の利用経験もなし
家族構成:妻、子ども2人と、4人暮らし
職業:営業職
家族歴:祖父が脳・心疾患多数(詳細不明)
喫煙歴:10〜15本/日を20〜27歳まで
飲酒歴:never drinker

参考文献

1)Lee S, et al : Weakened rate-dependent depression of Hoffmann's reflex and increased motoneuron hyperactivity after motor cortical infarction in mice.Cell Death & Disease 5:e1007, 2014. PMID 24434515
2)Shameem R, et al : Expert Opinion ; Bickerstaff's brainstem encephalitis ; a rare variant of the anti-Gq1b antibody syndrome. Practical Neurology, September/October, 2013.
3)Fukami Y, et al : Anti-GQ1b antibody syndrome ; anti-ganglioside complex reactivity determines clinical spectrum. Eur J Neurol 23(2) : 320-326, 2016. PMID 26176883
4)Odaka M, et al : Anti-GQ1b IgG antibody syndrome ; clinical and immunological range. J Neurol Neurosurg Psychiatry 70(1) : 50-55, 2001. PMID 11118247
5)秋山真弓,他:抗ガングリオシド抗体検出キットの開発—Guillain-Barré症候群,Fisher症候群における臨床的有用性の検討.脳と神経58(6):477-481, 2006.
6)日本神経学会(監),「ギラン・バレー症候群,フィッシャー症候群診療ガイドライン」作成委員会:ギラン・バレー症候群,フィッシャー症候群診療ガイドライン 2013,南光堂,2013.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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