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文献詳細

雑誌文献

総合診療32巻4号

2022年04月発行

文献概要

特集 えっ、これも!? 知っておきたい! 意外なアレルギー疾患 【知っておきたい! 意外なアレルギー疾患】

❺パンケーキ症候群

著者: 加賀史尋1

所属機関: 1洛和会丸太町病院 救急・総合診療科

ページ範囲:P.467 - P.469

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Case
患者:23歳、男性。小児の頃からダニアレルギーがあり、特異的IgE抗体検査で陽性と診断されている。また、スギによる花粉症と小児喘息の既往があるが、現在内服薬はない。来院1時間前に自宅でたこ焼き粉と全卵を用いてタコ焼きを作り、1人で食べていた(具はタコ、エビ、チーズ、ウインナー)。摂取直後から気分不良、皮膚瘙痒感、鼻汁、呼吸困難を自覚し、徐々に増悪傾向であるため、自身で救急要請して当院救急外来へ搬送となった。直前の運動歴、飲酒歴はない。摂取したタコ焼き粉や具材は以前も食べたことがある食材で、これまでアレルギー症状を起こしたことはなかった。来院時のバイルサインは、循環動態は安定し、酸素需要も認めなかったが、頻呼吸であり、全身に膨疹を認めた。アナフィラキシーと診断し、アドレナリン0.3mgを筋肉注射したところ、膨疹は消失し、上記自覚症状も消失した。

参考文献

1)Erben AM, et al : Anaphylaxis after ingestion of beignets contaminated with Dermatophagoides farinae. J Allergy Clin Immunol 92(6) : 846-849, 1993. PMID 8258619 〈小麦粉製品中のダニアレルゲンを経口摂取してアレルギーを発症した初めての報告〉
2)鈴木慎太郎,他:コナヒョウダニが混入したお好み焼きを経口摂取したことによるPancake Syndromeの1例:昭和学士会誌 78(3) : 282-288, 2018.
3)田中麗子,他:ダニが混入したお好み焼き粉によるアナフィラキシーの1例:皮膚臨床61(13) : 1943-1947, 2019.
4)Sánchez-Borges M, et al : Hidden allergens and oral mite anaphylaxis ; the pancake syndrome revisited. Curr Opin Allergy Clin Immunol 15(4) : 337-343, 2015. PMID 26110684 〈ダニアレルゲンの耐熱性についてのreview〉
5)Posthumus J, et al : A 71-year-old man with anaphylaxis after eating grits. Allergy Asthma Proc 33(1) : 110-113, 2012. PMID 22370536 〈コーンフラワー(トウモロコシ粉)を経口摂取してパンケーキ症候群を発症した報告〉
6)Miranda RJ, et al : Oral anaphylaxis by ingestion of mites contaminated oats in Panama City. Rev Alerg Mex 66(4) : 499-503, 2019. PMID 32105432 〈オートフラワー(オーツ麦粉)を経口摂取してパンケーキ症候群を発症した報告〉
7)Sánchez-Borges M, et al : Oral mite anaphylaxis ; who, when, and how? Curr Opin Allergy Clin Immunol 20(3) : 242-247, 2020. PMID 31977450 〈パンケーキ症候群の最新のreview〉
8)Matsumoto T, et al : The occurrence of mite-containing wheat flour. Pediatr Allergy Immunol 15(5) : 469-471, 2004. PMID 15482524 〈日本国内で未開封の小麦粉製品からダニが検出された報告〉

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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