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文献詳細

雑誌文献

総合診療32巻5号

2022年05月発行

文献概要

What's your diagnosis?[233]

高くついた代返

著者: 横江正道1 吉見祐輔1 末松篤樹1 久田敦史1 宮川慶1 田口雄一郎1 小林奈津希1 竹内元規1

所属機関: 1日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院 総合内科

ページ範囲:P.538 - P.541

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病歴
患者:73歳、男性
主訴:発熱、紅斑、酸素化不良
現病歴:
●3カ月前にCOVID-19中等症Ⅱにて当院入院。ステロイドパルスとレムデシビルにて治療
●2カ月前に発熱と呼吸苦にて当院ERを受診。COVID-19肺炎後の間質性肺炎として入院し、ステロイドパルスで治療。後療法としてプレドニゾロン40mgを開始し、ダイフェン®配合錠(スルファメトキサゾール・トリメトプリム錠)併用とともにプレドニゾロン30mgに漸減したタイミングで退院。その後、外来にてステロイドを20mgまで漸減していた。
●202X年4月1日、発熱にて受診。熱源はっきりせず、アモキシシリン/クラブラン酸にて加療開始となった。
●4月3日、発熱とSpO2値低下にてER受診。肺炎を合併したと判断され、呼吸器内科にて入院治療となった。入院後はタゾバクタム/ピペラシリンにて治療開始となった。
●4月5日、顔面、頭部の紅斑と眼球充血が出現。同日造影胸部腹部骨盤部CT撮影をするも、明らかな熱源を示唆する所見は得られず。
●4月6日、熱源精査目的に当科へ相談となった。
生活習慣:機会飲酒、喫煙なし。ADL(日常生活動作)は維持されている。
既往歴:65歳:自家感作性皮膚炎(皮膚科にてもともとプレドニゾロン5mgでフォローアップされていた)。71歳:潜在性結核(TSPOT陽性が判明、イソニアジド・ピドキサール処方)
内服薬:プレドニゾロン20mg/日、ランソプラゾール15mg/日、ダイフェン®配合錠4錠/日、イソニアジド300mg/日、ピリドキサール10mg/日、ボナロン® 35mg/週
review of systems(+):発熱、体重減少(COVID-19罹患後3カ月で5kgの減少)
review of systems(-):咳嗽、喀痰、咽頭痛、鼻汁、嘔気・嘔吐、腹痛、下痢、関節痛、背部痛、頻尿、残尿感、眼痛、羞明

参考文献

1)徳田安春:薬剤熱.臨床と研究90(8):1089-1092, 2013.
2)野口善令(監),横江正道(編):この1冊で極める不明熱の診断学—不明熱の不明率を下げるためのガイドブック.文光堂,2012.
3)横江正道:薬剤熱を疑う不明熱.Medical Practice 38(11) : 1693-1696, 2021.
4)Mackowiak PA : Drug fever ; mechanisms, maxims and misconceptions. Am J Med Sci 294(4) : 275-286, 1987. PMID 3310641
5)内藤嵩史,他:ST合剤投与により多彩なアレルギー症状を繰り返した全身性エリテマトーデスの1例.日本臨床免疫学会会誌 32(6) : 492-498, 2009.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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