文献詳細
文献概要
特集 「診断エラー」を科学する!—セッティング別 陥りやすい疾患・状況 【セッティングⅢ】一般外来
❷感染性心内膜炎
著者: 西口翔1
所属機関: 1湘南鎌倉総合病院 総合内科
ページ範囲:P.593 - P.596
文献購入ページに移動Case
診療所を繰り返し受診した「不明熱」の一例
患者:40歳、女性
現病歴:入院6週間前に発熱を自覚し、近隣診療所を受診した。クラリスロマイシンと鎮咳薬を処方され、解熱した。4週間前に再度発熱を認めたため再診し、ガレノキサシン® 200mgを処方された。そして2週間前、再度37℃台の発熱を認め、当院紹介となった。悪寒戦慄および全身倦怠感あり。う歯の自覚や歯科治療歴は認めなかった。
既往歴:先天性心疾患あり(詳細不明)
身体所見:体温38.3℃。眼瞼結膜出血斑なし。心尖部に収縮期の逆流性雑音を聴取した。
検査所見:血液;WBC 8,100/μL(Neut 87.1%)、CRP 9.8mg/dL。経胸壁心臓超音波;僧帽弁に1cm程度の疣贅を認め、Ⅳ度の僧帽弁逆流を認めた。頭部MRI;塞栓や動脈瘤の所見なし。
経過:入院時の血液培養からα-Streptococcusが検出された。「感染性心内膜炎」の診断で抗菌薬点滴治療を継続した。入院4日目に経食道心臓超音波検査を施行し、僧帽弁前尖に付着物あり、左房後方に逆流所見を認めた。疣贅のサイズは1cmあったが、血行動態は安定しており塞栓所見を認めなかったため、待機的に手術予定となった。その後、合併症なく経過し、入院23日目に疣贅ドレナージと僧帽弁逆流に対する治療を目的として、僧帽弁置換術を施行した。
診療所を繰り返し受診した「不明熱」の一例
患者:40歳、女性
現病歴:入院6週間前に発熱を自覚し、近隣診療所を受診した。クラリスロマイシンと鎮咳薬を処方され、解熱した。4週間前に再度発熱を認めたため再診し、ガレノキサシン® 200mgを処方された。そして2週間前、再度37℃台の発熱を認め、当院紹介となった。悪寒戦慄および全身倦怠感あり。う歯の自覚や歯科治療歴は認めなかった。
既往歴:先天性心疾患あり(詳細不明)
身体所見:体温38.3℃。眼瞼結膜出血斑なし。心尖部に収縮期の逆流性雑音を聴取した。
検査所見:血液;WBC 8,100/μL(Neut 87.1%)、CRP 9.8mg/dL。経胸壁心臓超音波;僧帽弁に1cm程度の疣贅を認め、Ⅳ度の僧帽弁逆流を認めた。頭部MRI;塞栓や動脈瘤の所見なし。
経過:入院時の血液培養からα-Streptococcusが検出された。「感染性心内膜炎」の診断で抗菌薬点滴治療を継続した。入院4日目に経食道心臓超音波検査を施行し、僧帽弁前尖に付着物あり、左房後方に逆流所見を認めた。疣贅のサイズは1cmあったが、血行動態は安定しており塞栓所見を認めなかったため、待機的に手術予定となった。その後、合併症なく経過し、入院23日目に疣贅ドレナージと僧帽弁逆流に対する治療を目的として、僧帽弁置換術を施行した。
参考文献
1)Cahill TJ, et al : Infective endocarditis. Lancet 387(10021) : 882-893, 2016. PMID 26341945
2)Koeda C, et al : Mild renal dysfunction on admission is an important prognostic predictor in patients with infective endocarditis ; a retrospective single-center study. Intern Med 52(10) : 1013-1018, 2013. PMID 23676584
3)Murdoch DR, et al : Clinical presentation, etiology, and outcome of infective endocarditis in the 21st century. Arch Intern Med 169(5) : 463-473, 2009. PMID 19273776
4)Habets J, et al : Are novel non-invasive imaging techniques needed in patients with suspected prosthetic heart valve endocarditis? A systematic review and meta-analysis. Eur Radiol 25(7) : 2125-2133, 2015. PMID 25680715
5)Nishiguchi S, et al : Factors associated with delayed diagnosis of infective endocarditis ; a retrospective cohort study in a teaching hospital in Japan. Medicine(Baltimore) 99(30) : e21418, 2020. PMID 32791760
6)Nishiguchi S, et al : Inappropriate use of antibiotics in primary care for patients with infective endocarditis. J Infect Chemother 26(6) : 640-642, 2020. PMID 32197818
7)日本循環器学会,他:感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017 年改訂版).pp48-51, 2018.
掲載誌情報