文献詳細
文献概要
特集 「診断エラー」を科学する!—セッティング別 陥りやすい疾患・状況 【セッティングⅢ】一般外来
❸結核
著者: 大藤貴1
所属機関: 1国立国際医療研究センター国府台病院
ページ範囲:P.597 - P.600
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「繰り返す気管支炎」と考えられていた肺結核の一例
患者:55歳、男性
既往歴:高血圧症、高尿酸血症
生活歴:喫煙;1日20本を35年
現病歴:普段から喀痰が多いことを自覚していた。2カ月前から微熱と咳嗽、喀痰量の増加を自覚し受診した。バイタルサインは体温37.5℃、SpO2 97%、呼吸数15回/分と安定していた。「気管支炎」と考え、ガレノキサシンが処方された。
その後いったん症状は軽快したが、1カ月後に同様の症状があり、ガレノキサシンが再び処方された。「副鼻腔気管支症候群」の可能性があり、耳鼻科の受診を指示したが、忙しくて受診できなかった。
再び同様の症状があり、3回目の受診となった。バイタルサインは安定していた。初めて撮影した胸部X線では、両肺野に粒状影(図1)がみられた。胸部CT(図2)で抗酸菌感染症が疑われた。喀痰抗酸菌検査で抗酸菌塗抹++、拡散増幅法で結核菌が陽性、「肺結核」の診断となった。
「繰り返す気管支炎」と考えられていた肺結核の一例
患者:55歳、男性
既往歴:高血圧症、高尿酸血症
生活歴:喫煙;1日20本を35年
現病歴:普段から喀痰が多いことを自覚していた。2カ月前から微熱と咳嗽、喀痰量の増加を自覚し受診した。バイタルサインは体温37.5℃、SpO2 97%、呼吸数15回/分と安定していた。「気管支炎」と考え、ガレノキサシンが処方された。
その後いったん症状は軽快したが、1カ月後に同様の症状があり、ガレノキサシンが再び処方された。「副鼻腔気管支症候群」の可能性があり、耳鼻科の受診を指示したが、忙しくて受診できなかった。
再び同様の症状があり、3回目の受診となった。バイタルサインは安定していた。初めて撮影した胸部X線では、両肺野に粒状影(図1)がみられた。胸部CT(図2)で抗酸菌感染症が疑われた。喀痰抗酸菌検査で抗酸菌塗抹++、拡散増幅法で結核菌が陽性、「肺結核」の診断となった。
参考文献
1)厚生労働省:2020年 結核登録者情報調査年報集計結果について. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000175095_00004.html(2022年4月4日現在)
2)Miller LG, et al : A population-based survey of tuberculosis symptoms ; how atypical are atypical presentations? Clin Infect Dis 30(2) : 293-299, 2000. PMID 10671331
3)伊藤邦彦:結核診療プラクティカルガイドブック.南江堂,p19,2008.
4)Al Zahrani K, et al : Yield of smear, culture and amplification tests from repeated sputum induction for the diagnosis of pulmonary tuberculosis. Int J Tuberc Lung Dis 5(9) : 855-860, 2001. PMID 11573898
5)日本結核病学会予防委員会・治療委員会:潜在性結核感染症治療指針.結核 88(5):497-512, 2013.
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