文献詳細
文献概要
特集 「診断エラー」を科学する!—セッティング別 陥りやすい疾患・状況 【セッティングⅢ】一般外来
❺リウマチ膠原病
著者: 吉田常恭1
所属機関: 1京都大学医学部附属病院 免疫・膠原病内科
ページ範囲:P.606 - P.610
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患者:43歳、男性。重喫煙者。
現病歴:2カ月続く手指関節痛のため、内科外来を受診した。身体診察では、両手関節に加えてMCP(中手指節間)・PIP(近位指節間)・DIP(遠位指節間)の各関節が非対称性に腫脹。血液検査で抗CCP(抗シトルリン化ペプチド)抗体陰性だが、RF(リウマトイド因子)25IU/mLと上昇していた。2010年のACR/EULAR(米国リウマチ学会/欧州リウマチ学会)の分類基準に則り「関節リウマチ」と診断し、メトトレキサート(MTX)による治療を開始した。
ところが、MTX16mgまで増量しても改善がなかった。TNF(腫瘍壊死因子)阻害薬を追加したが効果不十分で、IL(インターロイキン)-6阻害薬やアバタセプトに変更しても、効果は部分的であった。リウマチ膠原病内科に相談したところ、後頸部の髪の生え際に落屑を伴う紅斑を指摘され、生検で乾癬が判明した。「乾癬性関節炎」が疑われ、IL-17阻害薬を開始したところ、皮疹・関節炎ともに消退した。本人談では、長年の腰痛も消退したという。
患者:43歳、男性。重喫煙者。
現病歴:2カ月続く手指関節痛のため、内科外来を受診した。身体診察では、両手関節に加えてMCP(中手指節間)・PIP(近位指節間)・DIP(遠位指節間)の各関節が非対称性に腫脹。血液検査で抗CCP(抗シトルリン化ペプチド)抗体陰性だが、RF(リウマトイド因子)25IU/mLと上昇していた。2010年のACR/EULAR(米国リウマチ学会/欧州リウマチ学会)の分類基準に則り「関節リウマチ」と診断し、メトトレキサート(MTX)による治療を開始した。
ところが、MTX16mgまで増量しても改善がなかった。TNF(腫瘍壊死因子)阻害薬を追加したが効果不十分で、IL(インターロイキン)-6阻害薬やアバタセプトに変更しても、効果は部分的であった。リウマチ膠原病内科に相談したところ、後頸部の髪の生え際に落屑を伴う紅斑を指摘され、生検で乾癬が判明した。「乾癬性関節炎」が疑われ、IL-17阻害薬を開始したところ、皮疹・関節炎ともに消退した。本人談では、長年の腰痛も消退したという。
参考文献
1)綿貫聡:How Doctors Think—臨床医の診断思考過程のピットフォールを探る 診断プロセス総論—ピットフォールの背景因子.日内会誌108(9):1837-1841, 2019.
2)Aringer M, et al:2019 European League Against Rheumatism/American College of Rheumatology Classification Criteria for Systemic Lupus Erythematosus. Arthritis Rheumatol 71(9) : 1400-1412, 2019. PMID 31385462
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