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文献詳細

雑誌文献

総合診療32巻7号

2022年07月発行

文献概要

特集 —どうせやせない!? やせなきゃいけない??苦手克服!—「肥満」との向き合い方講座 【実践編】忙しい外来でもできる! エビデンスに基づく肥満診療

❶外来でできる多面的な「栄養指導」—“リバウンド症例”へのアプローチ

著者: 長井直子1

所属機関: 1大阪大学医学部附属病院 栄養マネジメント部

ページ範囲:P.830 - P.834

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Case
患者:30代、女性
現病歴:幼少期より肥満体型で、20歳の時にはすでに体重が100kg(BMI 37.2)あり、26歳で「糖尿病」と診断されて内服加療を開始した。挙児希望あり、27歳の時に他施設にて食事療法およびインスリン療法を導入したが、この時には体重101kg(BMI 37.6)、HbA1c 11.2%、随時血糖315mg/dLであった。10日間の短期入院で98kg(BMI 36.4)まで減量したが、半年後には112kg(BMI 41.6)にリバウンドした。また、HbA1cは7.1%まで改善したが、その後に増悪し不良な状態のまま経過した。33歳で最大体重117kg(BMI 43.5)となり、その後当院を受診した。
 何度も栄養指導を受けていたが、減量とリバウンドを繰り返し、食事療法を継続できなかった。エネルギー制限を中心とした栄養指導だけでは、継続的な減量は困難と考えられた。
併発症・既往歴:糖尿病、高LDLコレステロール血症、高トリグリセリド血症
家族歴:父;肥満症・糖尿病、母;肥満症・高血圧、姉;肥満症
生活背景:夫と2人暮らし。調理師(1日8,000歩)。運動習慣なし。
投薬内容:インスリンリスプロ(4-4-4-0)単位、インスリンデテミル(0-0-0-10)単位。メトホルミン1,500mg、イプラグリフロジン100mg、ピオグリタゾン30mg、リラグルチド0.9mg。
初回栄養指導時所見:身長164cm、体重112kg、BMI 41.6。腹囲119.1cm。血圧126/85mmHg、脈拍数84回/分・整。
空腹時血液検査:HbA1c 8.7%、Glu 150mg/dL、CPR 3.6ng/mL、LDL-Chol 155mg/dL、HDL-Chol 56mg/dL、TG 164mg/dL

参考文献

1)日本肥満学会(編):肥満症診療ガイドライン2016.ライフサイエンス出版,2016.
2)日本糖尿病学会(編著):糖尿病診療ガイドライン2019.南江堂,2019.
3)吉松博信,坂田利家:肥満症の行動療法.日内会誌 90(5):902-913, 2001.
4)吉松博信:肥満症の行動療法.門脇孝,他(編):糖尿病・代謝症候群 state of arts 2004-2006. 別冊 医学のあゆみ.pp827-834,医歯薬出版,2004.
5)吉松博信:肥満症の行動療法.日内会誌 100(4):917-927, 2011.
6)坂田利家(監修):かろやかサークル—あなたの食習慣を知るために.富士フイルム富山化学株式会社 http://pharmaceutical-jp.fujifilm.com/karoyaka/improve/question.html(2022年5月6日現在)
7)Oustric P, et al:Measuring food preference and reward ; application and cross-cultural adaptation of the Leeds Food Preference Questionnaire in human experimental research. Food Qual Prefer 80:103824, 2020.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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