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特集 こんなところも!“ちょいあて”エコー—POCUSお役立ちTips! 【@外来】
❹側頭動脈×エコー—巨細胞性動脈炎
著者: 板金正記1 金城光代12
所属機関: 1沖縄県立中部病院総合内科 2沖縄県立中部病院リウマチ・膠原病科
ページ範囲:P.935 - P.937
文献購入ページに移動巨細胞性動脈炎(giant cell arteritis:GCA)は、通常50歳以上に発症し、大動脈とその分枝に至る大血管および中血管の血管炎を特徴とする。なかでも側頭動脈は、頭蓋内で最もGCAによる血管炎を起こしやすい動脈である。頻度の高い症状として、発熱、食思不振、体重減少などの全身症状、新規発症の頭痛を押さえておく。その他、頭皮の感覚異常(髪を櫛でとかす時の知覚過敏)や顎跛行(咀嚼時に徐々に顎が重だるくなる)は、約半数の患者にみられる。患者の40〜50%にリウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica:PMR)を合併することが知られており、PMR様の症状(朝のこわばり、両肩挙上困難、寝返りが打てない)も聴取する。失明はGCAの緊急症で、前駆症状として複視や一過性黒内障が10%でみられ、その半数が失明に至るため注意が必要である1)。高齢者では全身症状が主体で、不明熱として紹介されてくることもある。GCAを疑う患者では、浅側頭動脈の前頭、もしくは頭頂枝に圧痛、肥厚、結節、発赤がないか、また触診にて脈の減弱・消失がないかを確認する。他に聴診では鎖骨上窩や頸動脈分岐部、大動脈弁領域の血管雑音がないか、眼底検査では虚血性病変がないかを確認する1)。
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