総合診療32巻9号

2022年09月発行

投稿 総合診療外来

滑って転んで1・2・3！

著者： 瀨堂川拓¹² 鬼頭知宏³ 土肥栄祐⁴⁵

所属機関： ¹前：新潟市民病院 救命救急・循環器病・脳卒中センター ²現：独立行政法人 国立病院機構 栃木医療センター 内科 ³能生国民健康保険診療所 ⁴前：新潟大学脳研究所 病態解析分野 ⁵現：国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病 研究第三部

ページ範囲：P.1130 - P.1131

症例
患者：65歳、男性。
主訴：複視。
既往歴：10代で動眼神経麻痺（精査過程については不明）。
内服薬：なし。
現病歴：来院2日前に自宅内で転倒し、後頭部を打撲した。近医を受診したところ頭部CTを撮影されたが、異常所見を認めず帰宅した。帰宅後、複視が出現してきたため再受診され、頭部CT再検査にて異常を認めず、経過観察となった。症状は変わらず、精査希望にて当院を受診した。受傷から来院まで、頭痛、めまい、嘔気、嘔吐は認めなかった。
身体所見：軽度の右眼瞼下垂を認め、対光反射が右で鈍かった。複視は左方視で最も増強された。
検査所見：HbA1c 5.3％、頭部MRI・MRAでは占拠性病変、動脈瘤を認めず。

参考文献

1）Sydnor CF, et al : Traumatic superior oblique palsies. Ophthalmology 89（2） : 134-138, 1982. PMID 7070785

2）Dhaliwal A, et al : Third, fourth, and sixth cranial nerve palsies following closed head injury. J Neuroophthalmol 26（1） : 4-10, 2006. PMID 16518159

3）Brazis PW : Palsies of the trochlear nerve ; diagnosis and localization ; recent concepts. Mayo Clin Proc 68（5） : 501-509, 1993. PMID 8479214

4）Bixenman WW : Diagnosis of superior oblique palsy. J Clin Neuroophthalmol 1（3） : 199-208, 1981. PMID 6213662

5）Reich SG : Teaching video is it III alone, or III and IV? Neurology 68（21） : E34, 2007.

6）Tamhankar MA, et al : Success of prisms in the management of diplopia due to fourth nerve palsy. J Neuroophthalmol 31（3） : 206-209, 2011. PMID 21378578