文献詳細
文献概要
特集 COVID-19パンデミック 振り返りと将来への備え 【未来のパンデミック対策編】
❸ウイルス性出血熱
著者: 加藤康幸1
所属機関: 1国際医療福祉大学成田病院 感染症科
ページ範囲:P.69 - P.72
文献購入ページに移動Case
発熱・黄疸・出血傾向を呈するアフリカからの帰国者1)
患者:32歳、男性。中国人。
患者:2016年3月、アンゴラ共和国滞在中に発熱、2日後に北京に帰国した。黄疸・乏尿・出血傾向があり、ただちに入院・集中治療が行われたが、発症から9日目に死亡した。入院時、血液から「黄熱ウイルス」が検出された。当時、アンゴラ共和国では首都ルアンダを中心に黄熱の流行が発生していた。本症例はアジア圏で初めて報告された黄熱の症例となった。
発熱・黄疸・出血傾向を呈するアフリカからの帰国者1)
患者:32歳、男性。中国人。
患者:2016年3月、アンゴラ共和国滞在中に発熱、2日後に北京に帰国した。黄疸・乏尿・出血傾向があり、ただちに入院・集中治療が行われたが、発症から9日目に死亡した。入院時、血液から「黄熱ウイルス」が検出された。当時、アンゴラ共和国では首都ルアンダを中心に黄熱の流行が発生していた。本症例はアジア圏で初めて報告された黄熱の症例となった。
参考文献
1)Chen Z, et al : A fatal yellow fever virus infection in China;description and lessons. Emerg Microbes Infect 5(7) : e69, 2016. PMID 27406389 〈冒頭のCaseで引用した黄熱の輸入症例〉
2)Rojek A, et al : Viral hemorrhagic fevers. In Cohen J, et al (ed) : Infectious Diseases, 4ed. pp1110-1118, Elsevier, 2017. 〈英国の代表的な感染症学の教科書。ウイルス性出血熱の全般的な知識が得られる〉
3)Siddle KJ, et al : Genomic analysis of Lassa virus during an increase in cases in Nigeria in 2018. N Engl J Med 379(18) : 1745-1753, 2018. PMID 30332564 〈ナイジェリアにおけるラッサ熱の流行が、ベクターからの感染が多いことを明らかにした〉
4)Wolf T, et al : Fifty years of imported Lassa fever;a systematic review of primary and secondary cases. J Trav Med 27(4) : 1-11, 2020. PMID 32219400 〈ラッサ熱の輸入症例がまとめてある〉
5)Veliziotis I, et al : Clinical management of Argentine hemorrhagic fever using ribavirin and favipiravir, Belgium, 2020. Emerg Infect Dis 26(7) : 1562-1566, 2020. PMID 32271701 〈ベルギーで報告された南米出血熱の輸入症例〉
6)Uyeki TM, et al : Clinical management of Ebola virus disease in the United States and Europe. N Engl J Med 374(7) : 636-646, 2016. PMID 26886522 〈西アフリカにおけるエボラ出血熱流行に関連した欧米への輸入症例についてまとめてある〉
7)Negredo A, et al : Autochthonous Crimean-Congo hemorrhagic fever in Spain. M Engl J Med 377(2) : 154-161, 2017. PMID 28700843 〈スペインで初めて報告されたクリミア・コンゴ出血熱の国内感染例〉
8)Wasserman S, et al : Yellow fever cases in Asia;primd for an epidemic. Int J Infect Dis 48 ; 98-103, 2016. PMID 27156836 〈アジアへの黄熱流行地拡大リスクについて解説〉
9)Gill CJ, et al : Why clinicians are natural Bayesians. BMJ 330(7499) ; 1080-1083, 2005. PMID 15879401 〈マラリアやウイルス性出血熱が題材となっている臨床推論の解説〉
10)加藤康幸,他:ウイルス性出血熱—診療の手引き,2017改訂新版.厚生労働行政推進調査事業費補助金,新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業,一類感染症の患者発生時に備えた治療・診断・感染管理等に関する研究,2017. https://www.mhlw.go.jp/content/000772042.pdf(2022年12月5日現在) 〈日本国内での対応について解説〉
掲載誌情報