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文献詳細

雑誌文献

総合診療33巻1号

2023年01月発行

文献概要

投稿 総合診療病棟

大腿静脈に限局した深部静脈血栓症の2症例—2点圧迫法の限界について

著者: 秋山美沙子1 財川英紀1 亀田徹2

所属機関: 1栃木県済生会宇都宮病院 医療技術部 臨床検査技術科 超音波検査課 2栃木県済生会宇都宮病院 超音波診断科

ページ範囲:P.112 - P.114

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 深部静脈血栓症(deep venous thrombosis:DVT)は、筋膜より深部に位置した静脈に生じた血栓症で、急性肺塞栓症の約90%は下肢のDVTに起因するとされる。検査室における下肢静脈超音波検査は、総大腿静脈から下腿静脈までの下肢全体を観察する全下肢静脈エコーが主流であり、下肢静脈の血栓をほぼすべて認識することが可能である1)
 一方、臨床医がベッドサイドで診療の一環として行う超音波検査は、POCUS(point of care ultrasonography)と呼ばれ、関連した臨床研究が数多く行われ、急性期診療において領域別のアプローチ法が見出されている。下肢静脈超音波検査におけるPOCUSでは、総大腿静脈と膝窩静脈のみを圧迫して評価する2点圧迫法が主流であり、簡便かつ短時間で近位下肢静脈の血栓を認識できるので、急性期診療において積極的に利用されている1)。しかし近年、大腿静脈に限局した血栓の存在が明らかになっているが2〜4)、われわれが知りうる限りにおいて症例報告は見当たらない。
 今回、当院で施行した下肢静脈超音波検査において、2点圧迫法では認識できないと考えられる大腿静脈に限局した血栓例を経験したので報告する。

参考文献

1)静脈エコー検討小委員会:超音波による深部静脈血栓症・下肢静脈瘤の標準的評価法.静脈学29(3) : 363-394, 2018.
2)Cogo A, et al : Distribution of thrombosis in patients with symptomatic deep vein thrombosis ; implications for simplifying the diagnostic process with compression ultrasound. Arch Intern Med 153(24) : 2777-2780, 1993. PMID 8257253
3)Adhikari S, et al: Isolated deep venous thrombosis ; implications for 2-point compression ultrasonography of the lower extremity. Ann Emerg Med 66(3) : 262-266, 2015. PMID 25465473
4)Zitek T, et al : Mistakes and pitfalls associated with two-point compression ultrasound for deep vein thrombosis. West J Emerg Med 17(2) : 201-208, 2016. PMID 26973753
5)Chebl RB, et al : Two-point compression ultrasonography ; enough to rule out lower extremity deep venous thrombosis? World J Emerg Med 12(4) : 268-273, 2021. PMID 34512822

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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