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雑誌目次

雑誌文献

総合診療33巻11号

2023年11月発行

雑誌目次

特集 —続・総合診療外来に“実装”したい—最新エビデンスMy Best 3

フリーアクセス

著者: 藤沼康樹

ページ範囲:P.1276 - P.1277

総合診療医には、幅広い領域の最新知識を継続的にアップデートすることが求められます。
しかし独力では、なかなか実践困難なことも多くあります。
本特集は、予想以上の好評を得た本誌2022年6月号の続編です。
今回は、プライマリ・ケアにおいて重要な臨床テーマを新たに21項目取り上げ、現場へのエビデンスの実装支援を目指します。
およそ過去5年間に発表された論文を中心に、主要な疾患や健康問題に関する“知っておくべきエビデンス”を各領域の専門家にご紹介いただきました。
各執筆者が「プライマリ・ケア医にぜひ知っておいてほしい」と考える、診断・治療・予後や疫学などに関する近年の「3つのエビデンス」を、主には原著論文やメタ解析から取り上げ、その背景となる論文も交えてポイントを解説し、プライマリ・ケア現場への実装にも言及していただきました。

今月の「めざせ! 総合診療専門医!」問題

ページ範囲:P.1347 - P.1349

本問題集は、今月の特集のご執筆者に、執筆テーマに関連して「総合診療専門医なら知っておいてほしい!」「自分ならこんな試験問題をつくりたい!」という内容を自由に作成していただいたものです。力試し問題に、チャレンジしてみてください。

【総論】

EBMの最近の進歩

著者: 安原千晴 ,   岡田悟

ページ範囲:P.1278 - P.1282

プロローグ
「私にはEBMなんてできない…」
「こんにちは、総合診療科の高原祐希です。よろしくお願いします」
 私は総合診療医を目指す卒後3年目の専攻医だ。市中病院の総合診療科で働いている。今日は、午後の予約外来の担当だ。

【各論】

❶認知症

著者: 佐治直樹

ページ範囲:P.1283 - P.1285

中高年の難聴者は、「補聴器」を装用しなかった場合、認知症発症リスクが1.42倍と上昇する。一方、装用した場合はリスクは上昇せず(1.04倍)、難聴のない中高年と同程度に軽減された。

❷Parkinson病

著者: 関守信

ページ範囲:P.1286 - P.1288

2015年に発表された「Movement Disorder Society Parkinson's Disease臨床診断基準」の診断精度は、病理診断をゴールドスタンダードとして、運動障害専門医97.2%、非専門医90.3%であった。発症早期のPD患者においても高い正診率が示された。

❸慢性腰痛症

著者: 長谷川優 ,   南郷栄秀

ページ範囲:P.1289 - P.1291

慢性腰痛症に対して、アセトアミノフェンは疼痛の軽減に寄与しないが、「NSAIDs」「ベンゾジアゼピン」「オピオイド」は有害事象に注意しながら使用すると、わずかに効果がある可能性がある。

❹difficult patient encounters(対応困難な状況)

著者: 鋪野紀好

ページ範囲:P.1292 - P.1294

日本の総合診療外来におけるdifficult patient encountersの頻度は「市中病院」で15.0%と、諸外国のプライマリ・ケア外来と同等の結果であった。一方、紹介患者が中心の「大学病院」においては39.8%と、市中病院より有意に高い結果であった(p<0.001)。

❺発達障害

著者: 今村弥生

ページ範囲:P.1295 - P.1297

児童思春期(13〜18歳)の注意欠如多動症(ADHD)患者に対し、中枢神経刺激薬などの「薬物療法」はすべて症状改善に効果があるとRCT(ランダム化比較試験)によって示され、使用を検討すべきである。一方、大人のADHDの多くは他に合併する精神疾患があり、RCTに参加できる被験者は実臨床の患者と同様とは言えない点を考慮し、「心理・社会的アプローチ」も考慮したい。

❻サルコペニア

著者: 若林秀隆

ページ範囲:P.1298 - P.1300

サルコペニアの高齢者のQOLを改善させる最も効果的な治療は、「筋力トレーニング±栄養」もしくは「筋力トレーニング+バランス運動+有酸素運動」の併用であり、運動と栄養の複合介入が第一選択である。

❼不眠症

著者: 高野裕太 ,   井上雄一

ページ範囲:P.1301 - P.1303

不眠症の発症・持続・寛解の割合を5年間追跡した疫学研究の結果、5年後にも59.1%に不眠症が「持続」していた。さらに、自然経過で一時的に症状が軽減したとしても、翌年には「悪化」に転じる割合が高かった。

❽甲状腺機能低下症

著者: 高瀬了輔 ,   大塚文男

ページ範囲:P.1304 - P.1306

甲状腺刺激ホルモン(TSH)濃度は基準値内でも、正常上限や下限では、高齢者の「サルコペニア」と相関がある。甲状腺機能や筋肉量・歩行速度・活動性などを定期的に評価し、運動・栄養指導に加え、適切な治療介入の検討が重要である。

❾非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)

著者: 上村顕也

ページ範囲:P.1307 - P.1309

NAFLD/NASHの診療では、その予後規定因子である「肝線維化」の評価が重要である。ガイドラインでゴールドスタンダードとされる「肝生検」は、全患者には施行困難な侵襲的検査で、経時的評価が難しい。そこで、プライマリ・ケアの現場で病態を把握できる「FIB-4 index」や「超音波検査」による非侵襲的評価法が検証されている。

❿下肢閉塞性動脈硬化症

著者: 山本洋平 ,   工藤敏文

ページ範囲:P.1310 - P.1312

下肢閉塞性動脈硬化症による間欠性跛行の改善に明確なエビデンスを有する薬物は「シロスタゾール」である。

⓫肺塞栓症

著者: 近藤真未

ページ範囲:P.1313 - P.1315

呼吸器症状が悪化して入院した「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」患者のなかには肺塞栓症(PE)を合併している場合がある。治療経過がCOPDの急性増悪と合わない時は、PEも鑑別にあげて注意深く観察する必要がある。

⓬前立腺肥大症

著者: 小路直

ページ範囲:P.1316 - P.1318

尿閉をきたした患者には、まず「導尿」あるいは「尿道カテーテル留置」を行う。前立腺肥大症による尿閉の場合、「α1遮断薬」がカテーテル離脱に有用である。

⓭HIV感染症

著者: 田島靖久

ページ範囲:P.1319 - P.1321

HIV陽性のパートナーが抗レトロウイルス療法(ART)を受け、ウイルス量が「200コピー/mL以下」の場合、コンドームを使用しない性交渉によるHIV感染のリスクは事実上ゼロとなる。

⓮過敏性腸症候群(IBS)

著者: 田中由佳里

ページ範囲:P.1322 - P.1324

感染性腸炎後の腸内細菌叢は、多様性が低下し、組成も変化していた。この変化には「食事」が関連しており、食物繊維摂取による「プレバイオティクス」の効果が、感染性腸炎後IBSを抑制する可能性が示唆された。

⓯高齢者の便秘

著者: 田中由佳里

ページ範囲:P.1325 - P.1327

高齢者の大腸神経筋機能について、特に上行結腸で「コリン作動性」の筋収縮が低下していることがわかった。反応性が低下した大腸に抗コリン薬が付加されると、便秘症を悪化させる可能性が考えられ、「処方薬に抗コリン作用をもつ薬がどの程度含まれているか」に注意する必要性が示唆される。

⓰小児の起立性調節障害

著者: 柳夲嘉時

ページ範囲:P.1328 - P.1330

起立性調節障害(OD)の重要な非薬物療法の1つは、水分・塩分の摂取である。1日に「水分2L以上」「塩分10〜12g」を摂取することがOD治療の第一歩であり、水分摂取が不十分だと他の治療効果も不十分になる。

⓱女性の更年期障害

著者: 吉持盾信 ,   森田修平 ,   小林駿介 ,   鳴本敬一郎

ページ範囲:P.1331 - P.1333

「エクオール」は、腸内細菌によりイソフラボンから産生される植物性エストロゲンであり、食品として販売されているため誰でも摂取可能である。閉経期におけるエクオールの摂取は「ホットフラッシュ」を統計学的に有意に減少させるが、その臨床的意義は限定的である。

⓲LGBTQと医療

著者: 吉田絵理子

ページ範囲:P.1334 - P.1336

トランスジェンダーのヘルスケアに関する国際的ガイドラインが、10年ぶりに改訂された。疑問が生じたら、まずこのガイドラインに目を通すとよい。

⓳複雑な健康問題のケア

著者: 青木拓也

ページ範囲:P.1337 - P.1339

新たな複雑性指標は、より多くのリソースを必要とする“複雑性の高い患者”を診療情報に基づきあらかじめ特定することで、時間的・人的資源の効率的な配分に寄与する可能性がある。

⓴がんサバイバーシップ

著者: 高橋都

ページ範囲:P.1340 - P.1342

「がんサバイバーシップケア」は、がん患者の身体・心理・社会的ケアに加えて、がん以外の疾患管理や健康増進も含む。サバイバーシップケアによって、患者の健康関連QOLの改善、不要なヘルスケア利用の減少、ケアのコスト削減、死亡率の低下が期待される。

(21)外来における医学生教育

著者: 高村昭輝

ページ範囲:P.1343 - P.1346

総合診療外来における長期間の臨床実習は、大病院の臓器専門外来や病棟で伝統的な短期ブロックローテーションをした学生に比べて臨床経験機会が多く、「臨床能力修得」において利点があるだけでなく、「学業成績」も同等かそれ以上である。

Editorial

プライマリ・ケアの“3つのルール”と“創発特性” フリーアクセス

著者: 藤沼康樹

ページ範囲:P.1265 - P.1265

複雑性科学の最も魅力的な原理の1つは、複雑なシステムの動作が単純なルールで説明できる場合があるということだ。たとえば、鳥の驚異的に複雑な群れ行動は、以下の3つの単純なルールによって生み出されると言われている。
●整列:近くの鳥たちときちんと並ぶ。
●密着:周囲の鳥たちの中に出現する中心集団に向かって進む。
●別々:衝突しないように隣の鳥と等距離になるようにする。

What's your diagnosis?[251]

たるんどるよ! 簡単じゃないか!

著者: 吉田常恭 ,   酒見英太

ページ範囲:P.1268 - P.1273

病歴
患者:78歳、女性
主訴:右下腹部痛
現病歴:中等度の認知症をもつ78歳女性。夫によると、来院7日前から右肩痛を訴えていたが、鎮痛薬は使用せず消退した。来院1日前から腹部の違和感(本人は「調子が悪い」と表現)を訴えていた。来院当日、朝食の準備中より臍周囲の腹痛を訴え始めた。徐々に右下腹部の間欠痛となり、しゃがみこんで動けなくなったため救急搬送された。救急車中では茶色吐物の嘔吐が1回あった。悪寒・発熱、便通変化、血便・黒色便、腰背部痛、性器出血・帯下はない。
生もの・鶏肉・焼肉食はなかったが、来院2日前にしめ鯖を含む刺身を食べたという。周囲に腹痛や下痢を訴える者はいない。
既往歴:髄膜腫術後症候性痙攣、甲状腺機能低下症、骨粗鬆症
薬剤歴:カルバマゼピン200mg×2/日、レボチロキシン25μg/日、エルデカルシトール0.75μg/日、ミノドロン酸50mg/月
生活歴:京都出身で京都在住。旅行は長年しておらず、飲酒・喫煙はしない

【エッセイ】アスクレピオスの杖—想い出の診療録・43

医療によるトラウマ

著者: 池田裕美枝

ページ範囲:P.1274 - P.1275

本連載は、毎月替わる著者が、これまでの診療で心に残る患者さんとの出会いや、人生を変えた出来事を、エッセイにまとめてお届けします。

対談|医のアートを求めて・5

医療×ナラティブ—ノンフィクション作家が見た命の現場 ハッピー・エンド・オブ・ライフとは何か?

著者: 佐々涼子 ,   平島修

ページ範囲:P.1351 - P.1357

この40年間で年間死亡者数は2倍となり、現在、年間約140万人を超えているが、果たして「死」は40年前と比べ、身近な出来事になったのだろうか?
私たちの社会は今、都会への一極集中、核家族化が進む中で、高齢者世帯は増加している。国は在宅医療を推進する一方で、介護者不在により人生の最期を病院で過ごす人が増え、「死」は私たちの日常からなくなってしまった。
そのような中、佐々涼子氏は在宅医療を中心に行う京都の渡辺西賀茂診療所への取材を通して、「死とは何か?」を探していた。そしてたどり着いた答えは…?
本対談は、書籍『エンド・オブ・ライフ』(集英社2020)の内容をもとに進めていった。
読者の皆さんにも、それぞれのエンド・オブ・ライフを考えてもらえたら幸いである。(平島修)

オール沖縄!カンファレンス|レジデントの対応と指導医の考えVer.2.0・82

帯状疱疹で入院した高齢患者の意識レベルが良くなりません…

著者: 山田衛 ,   與那覇忠博 ,   新里敬 ,   徳田安春 ,   仲里信彦 ,   鈴木智晴 ,   佐藤直行

ページ範囲:P.1359 - P.1363

CASE
患者:80代、女性。
主訴:嘔気、体動困難、微熱。
現病歴:受診3日前に背部・前胸部の水疱を伴う皮疹が出現、近医で帯状疱疹と診断されアメナメビルの処方を受けた。その後も皮疹は持続し、嘔気とそれによる経口摂取困難、歩行困難、微熱を伴ってきたため、当院へ救急搬送となった。
併存症:高血圧症、脂質異常症、骨粗鬆症、気管支喘息、皮膚瘙痒症、白内障、原発閉塞隅角症。
既往歴:冠動脈バイパス術後。腰椎圧迫骨折(1年前に転倒し、近医整形外科で診断)。
内服薬:クロピドグレル、バルサルタン、アトルバスタチン、アルファカルシドール、オロパタジン、フルチカゾン・サルメテロール合剤(吸入)、ケトチフェン点眼液。3日前よりアメナメビル、ミロガバリン、ボノプラザン、ビダラビン軟膏、フェルビナク軟膏。
嗜好歴:喫煙・飲酒ともになし。
ADL:自立、移動時歩行器利用。自宅で夫と娘と3人暮らし。
アレルギー歴:なし。
ワクチン接種歴:SARS-CoV-2ワクチン3回済、帯状疱疹ワクチンなし(水痘罹患歴あり)。
Review of systems:腰椎圧迫骨折後より腰痛が持続。その他の症状なし。

Dr.上田剛士のエビデンス実践レクチャー!医学と日常の狭間で|患者さんからの素朴な質問にどう答える?・44

乗り物酔いを克服する

著者: 上田剛士

ページ範囲:P.1372 - P.1377

患者さんからのふとした質問に答えられないことはないでしょうか? 素朴な疑問ほど回答が難しいものはありませんが、新たな気づきをもたらす良問も多いのではないでしょうか? 本連載では素朴な疑問に、文献的根拠を提示しながらお答えします!

臨床教育お悩み相談室|どうする!?サロン・10

本当にベンキョーになる「勉強会」の話

著者: 佐田竜一 ,   木村武司 ,   長野広之

ページ範囲:P.1378 - P.1382

今月のお悩み
卒後11年目の指導医です。研修医から「勉強会を開催してほしい」と依頼されました。勉強会と一口に言っても、「レクチャー」から「ケースカンファレンス」まで、さまざまあると思います。レクチャーは準備しやすいけど、昨今はオンラインのコンテンツも充実しているし…、一方向性になるとせっかく「対面」で集まる旨みが活かせない気もします。研修医の隠れたニーズも拾い上げられれば最適とは思いますが、どのような形式の勉強会を行うとよいのでしょうか?
[ペンネーム:Jimmy]

臨床医のためのライフハック│限りある時間を有効に使う仕事術・8

—ウェブ発信❷—「リクルート」や「人脈形成」に活かすウェブ発信術

著者: 中島啓

ページ範囲:P.1383 - P.1386

時間がない! 臨床医の仕事は診療だけにあらず、事務、教育、自己学習、研究、学会発表、情報発信、所属組織の運営などなど、尽きることはありません。もちろんプライベートの生活もあり、「時間不足」は臨床医の永遠の課題です。では、一度きりの“医師人生”の限られた時間を、どう有効に使うのか? 筆者が培ってきた「ライフハック(仕事術)」のすべてを、余すところなく開陳します。

ジェネラリストに必要な ご遺体の診断学・8

「死後硬直」と「四肢」を診る

著者: 森田沙斗武

ページ範囲:P.1387 - P.1391

Case
患者:40歳、男性。妻と子ども2人と4人暮らし。
既往歴:抑うつ気分。コロナ禍でリストラされ就職活動を行っていたが、その頃から不眠・倦怠感を自覚し当院を受診。諸検査にて異常を認めず、抑うつ状態からの身体症状を疑い、精神科または心療内科を受診するように指導していた。
現病歴:某日20時頃に家族と夕食をとったあと、22時頃に自室に入った。翌朝7時に妻が起こしに行くと、部屋のクローゼットにベルトをかけて縊頸しているのを発見。7時10分に救急通報、18分に救急隊到着。救急隊はわずかに死後硬直があると感じたが、取り乱した家族におされ、当院に搬送した。
 救急隊から申し訳なさそうに「死後硬直があると思いましたが…」と申し送りを受けたが、救急救命処置を継続した。当然反応せず、20分後に家族の受け入れとともに死亡確認となった。家族に「搬送時にすでに死後硬直を認め、救命は難しかった」と説明すると、「では何時頃に首を吊ったのですか?」と聞かれた。とりあえず「数時間前と思います」と答えたが、よくわからなかった。
 異状死のため警察に届出を行い、捜査協力をしたが、「搬送時に硬直があったそうですが、どの程度でしたか?」と聞かれた。明らかなご遺体への医療行為は保険診療にならないことを思い出し、とっさに「ハッキリしませんでしたので、救急救命処置を行いました」と答えた。死後硬直についていろいろ聞かれたが、実際には死後硬直を評価しておらず、ポイントもよくわからなかった。

投稿 GM Clinical Pictures

進行大腸癌で下痢が生じた理由は?

著者: 梶原祐策

ページ範囲:P.1365 - P.1366

CASE
患者:72歳、男性。
現病歴:3カ月前から続く下痢と、本日になって便に血が混じるようになったことから当科を受診した。下部消化管内視鏡検査でS状結腸に全周性の3型腫瘍(図1Ⓐ)が明らかとなり、潰瘍性腫瘍による狭窄(図1Ⓑ)で内視鏡を通過させることができなかった。既往歴:なし。
社会生活歴・家族歴:特記すべきことなし。
身体所見:身長165.2cm、体重53.9kg(3カ月前は60.5kg)、体温37.0℃、血圧159/70mmHg、脈拍数98回/分、腹部は平坦・軟で、圧痛なし。
画像所見:水溶性消化管造影剤(ガストログラフィン®)を用いたX線透視検査(図2Ⓐ・Ⓑ)とガストログラフィン®注入後の腹部〜骨盤部単純CT検査(図2Ⓒ)。

総合診療病棟

減量チームによる集学的介入が喘息コントロールの改善につながった肥満喘息の1例

著者: 井上拓弥 ,   住谷充弘 ,   北浜誠一 ,   竹嶋好 ,   中島進介

ページ範囲:P.1392 - P.1395

高用量の吸入ステロイドや気管支拡張薬を使用するも、7〜10%の患者において治療効果が乏しい喘息病態(難治気管支喘息)が存在し、難治病態因子の1つにBMI 25kg/m2以上の肥満病態が報告されている1)。肥満喘息患者では体重の減少が喘息コントロールに効果があり、10%の体重減量が喘息のコントロールを改善した報告を認める2)。しかし、高度肥満者の体重減少は困難な例も多く、一概に体重減少と言っても一筋縄でいかないことも多い。
 今回、当院減量チームの集学的介入により減量・代謝改善手術につながり、結果的に体重減少を契機に喘息コントロールの改善につながった1例を経験したので本稿にて報告する。

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ページ範囲:P.1266 - P.1267

読者アンケート

ページ範囲:P.1371 - P.1371

次号予告 フリーアクセス

ページ範囲:P.1399 - P.1400

基本情報

総合診療

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 2188-806X

印刷版ISSN 2188-8051

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バックナンバー

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34巻8号(2024年8月発行)

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34巻7号(2024年7月発行)

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33巻9号(2023年9月発行)

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30巻10号(2020年10月発行)

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30巻9号(2020年9月発行)

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30巻8号(2020年8月発行)

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特集 誌上Journal Club—私を変えた激アツ論文

30巻4号(2020年4月発行)

特集 大便強ドリル—便秘・下痢・腹痛・消化器疾患に強くなる41問!

30巻3号(2020年3月発行)

特集 これではアカンで!こどもの診療—ハマりがちな11のピットフォール

30巻2号(2020年2月発行)

特集 いつ手術・インターベンションに送るの?|今でしょ! 今じゃないでしょ! 今のジョーシキ!【循環器・消化器・神経疾患編】

30巻1号(2020年1月発行)

特集 総合診療医の“若手ロールモデル”を紹介します!—私たちはどう生きるか

27巻12号(2017年12月発行)

特集 小児診療“苦手”克服!!—劇的Before & After

27巻11号(2017年11月発行)

特集 今そこにある、ファミリー・バイオレンス|Violence and Health

27巻10号(2017年10月発行)

特集 めまいがするんです!─特別付録Web動画付

27巻9号(2017年9月発行)

特集 うつより多い「不安」の診かた—患者も医師も安らぎたい

27巻8号(2017年8月発行)

特集 見逃しやすい内分泌疾患─このキーワード、この所見で診断する!

27巻7号(2017年7月発行)

特集 感染症を病歴と診察だけで診断する!Part 3 カリスマ編

27巻6号(2017年6月発行)

特集 「地域を診る医者」最強の養成法!

27巻5号(2017年5月発行)

特集 コミュニケーションを処方する—ユマニチュードもオープンダイアローグも入ってます!

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特集 病歴と診察で診断できない発熱!—その謎の賢い解き方を伝授します。

27巻3号(2017年3月発行)

特集 これがホントに必要な薬40—総合診療医の外来自家薬籠

27巻2号(2017年2月発行)

特集 The総合診療ベーシックス—白熱!「総合診療フェスin OKINAWA」ライブ・レクチャー! 一挙公開 フィジカル動画付!

27巻1号(2017年1月発行)

特集 総合診療の“夜明け”—キーマンが語り尽くした「来し方、行く末」

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