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文献詳細

雑誌文献

総合診療33巻12号

2023年12月発行

What's your diagnosis?[252]

近づくと逃げていきます・・・

著者: 内藤茂之1 山口諒也2 河村裕美2 大矢亮2 藤本卓司2

所属機関: 1西淀病院 2耳原総合病院

ページ範囲:P.1404 - P.1409

文献概要

病歴
患者:57歳、女性
主訴:めまい、物が二重に見える、嘔気
現病歴:来院前日まで普段通りだった。入院当日午前7時の覚醒時、仰臥位で天井が下から上に動いているように見えた。どの方向を見ても同様であった。洗面台で鏡を見ると、顔や物が1つに見えなかった。ピントはぼやけていなかった。両目を開けていると嘔気を催したが、右目を閉じると視野の違和感とめまいが改善するため、ハンカチで右眼を覆っていた。歩行は正常で普通に話すことができた。近医を受診し、当院に紹介入院となった。
追加問診:遠く・近くを見る時の違いはわからない。階段が降りにくいか否かもわからない(自宅1階、階段なし)。
ROS陰性:頭痛、頸部痛、胸痛、腰背部痛、呂律困難、脱力、しびれ、難聴、発熱、悪寒戦慄
既往歴:機能性月経困難症、子宮頸部中等度異形成(39歳:円錐切除)、慢性胃炎(H. pylori除菌済み)
内服薬・アレルギー:なし
嗜好歴:喫煙歴なし、機会飲酒
*本論文中、[▶動画]マークにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2025年11月30日まで)。

参考文献

1)Keane JR : Internuclear ophthalmoplegia ; unusual causes in 114 of 410 patients. Arch Neurol 62(5) : 714-717, 2005. 〈MLF症候群の疫学〉
2)横田淳一:MLF(Medial longitudinal fasciculus:内側縦束)症候群・One-and-a-half症候群.Equilibrium Res 81(6) : 473-490, 2022. 〈MLF症候群の概要〉
3)高松和弘,他:Non-paralytic pontine exotropia.神経内科44 : 217-224, 1996. 〈NPPEの症例報告と考察〉
4)Johkura K, et al : Gaze palsy and exotropia in internuclear ophthalmoplegia. J Neurol Sci 353(1-2) : 158-160, 2015. PMID 25911021 〈MLF症候群,NPPEなどの症例報告と考察〉
5)平山惠造:神経症候学,改訂版第二版Ⅰ.pp540-541,文光堂,2006. 〈動眼神経亜核についての解説〉
6)Lavrich JB : Convergence insufficiency and its current treatment. Curr Opin Ophthalmol 21(5) : 356-360, 2010. PMID 20634696 〈輻輳近点についての概説〉

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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