文献詳細
特集 海の外へ渡る航行者を診る—アウトバウンドにまつわるetc.
【渡航医学トピックス】
文献概要
病原体を媒介する蚊の特徴と気候変動などによる流行への影響
蚊は世界に約3,600種類、日本国内には亜種を含めると130種類が生息しているとされ、吸血行動は雌の成虫のみに認めるが、国内でヒトを吸血対象とする蚊はヒトスジシマカ(ヤブカ)、アカイエカなど、20種類程度とされる1,2)。これらの蚊が病原体をヒトに伝播する。
蚊の活動性は気温や日照時間などに依存しており、条件の変化に伴い幼虫の発育期間や成虫の寿命が変化する。具体的には、ヒトスジシマカが幼虫から成虫に発育する期間は、夏季では10〜12日であるが、気温が低い春先(4月)や晩秋(10月)では30〜50日を要する。また、ヒトスジシマカの定着には年間平均気温11℃以上が必要とされ、地球温暖化に伴って生息分布域は拡大している。日本国内での北限は、1948年頃は栃木県、1996年頃は秋田県から宮城県、2009年は岩手県、2015年は青森県と北上している1)。
蚊は世界に約3,600種類、日本国内には亜種を含めると130種類が生息しているとされ、吸血行動は雌の成虫のみに認めるが、国内でヒトを吸血対象とする蚊はヒトスジシマカ(ヤブカ)、アカイエカなど、20種類程度とされる1,2)。これらの蚊が病原体をヒトに伝播する。
蚊の活動性は気温や日照時間などに依存しており、条件の変化に伴い幼虫の発育期間や成虫の寿命が変化する。具体的には、ヒトスジシマカが幼虫から成虫に発育する期間は、夏季では10〜12日であるが、気温が低い春先(4月)や晩秋(10月)では30〜50日を要する。また、ヒトスジシマカの定着には年間平均気温11℃以上が必要とされ、地球温暖化に伴って生息分布域は拡大している。日本国内での北限は、1948年頃は栃木県、1996年頃は秋田県から宮城県、2009年は岩手県、2015年は青森県と北上している1)。
参考文献
1)国立感染症研究所:蚊媒介感染症,2012年1月〜2022年3月.IASR 43 : 125-128, 2022.
2)倉根一郎(主任研究者):資料1 蚊の生活史と調査法.ウエストナイル熱媒介蚊対策に関するガイドライン,厚生労働科学研究費補助金 新興・再興感染症研究事業,2003. https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou18/pdf/05-07_3.pdf
3)European Centre for Disease Prevention and Control ; Communicable Disease Threats Report, week 34, 20-26 August 2023. https://www.ecdc.europa.eu/sites/default/files/documents/communicable-disease-threats-report-week-34-2023.pdf
4)CDC : Important Updates on Locally Acquired Malaria Cases Identified in Florida, Texas, and Maryland. https://emergency.cdc.gov/han/2023/han00496.asp
5)Wieters I, et al : Two cases of airport-associated falciparum malaria in Frankfurt am Main, Germany, October 2019. Euro Surveill 24(49) : 1900691, 2019. PMID 31822328
6)Bortel WV, et al : Two fatal autochthonous cases of airport malaria, Belgium, 2020. Euro Surveill 27(16) : 2100724, 2022. PMID 35451360
7)田島茂,他:日本脳炎に関する最近の状況.IASR 43 : 135-137, 2022.
8)国立感染症研究所:IASR;デング熱・デング出血熱 2015〜2019年。 https://www.niid.go.jp/niid/ja/dengue-m/dengue-iasrtpc/9691-484t.html
9)国立感染症研究所:発生動向調査年別一覧(全数把握);四類感染症。 https://www.niid.go.jp/niid/ja/ydata/11529-report-ja2021-20.html
10)WHO : WHO to convene an International Health Regulations Emergency Committee on Zika virus and observed increase in neurological disorders and neonatal malformations. https://www.who.int/en/news-room/detail/28-01-2016-who-to-convene-an-international-health-regulations-emergency-committee-on-zika-virus-and-observed-increase-in-neurological-disorders-and-neonatal-malformations
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