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文献詳細

雑誌文献

総合診療33巻12号

2023年12月発行

特集 海の外へ渡る航行者を診る—アウトバウンドにまつわるetc.

【渡航医学トピックス】

❷薬剤耐性菌

著者: 濱口重人1

所属機関: 1大阪大学大学院医学系研究科 変革的ヒト検体解析学 寄附講座

ページ範囲:P.1450 - P.1452

文献概要

薬剤耐性(AMR)とは?
 薬剤耐性(antimicrobial resistance : AMR)とは、特定の種類の抗菌薬が効きにくくなる、または効かなくなる現象を指す。2019年には、WHO(世界保健機関)が「世界保健にもたらす10の脅威」を発表し、そのなかで感染症に関連する5つの項目が挙げられた1)。なかでもAMRは特に注目される項目として位置づけられている。2023年5月に広島で行われたG7サミットでも、世界経済やウクライナ問題と並んで、AMRは主要な議題の1つとして取り上げられた。これはAMRがすでに単なる医療問題を超え、公衆衛生課題、社会全体の問題として捉えられていることを示している。
 2020年からの3年間は、世界中において医療機関がCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)のパンデミックに振り回された。AMRは世界的な脅威として以前から警鐘が鳴らされていたが、日本でもこの3年間はAMRに対する警戒や対策が疎かになっていた感が否めない。しかし、新型コロナウイルスの有無にかかわらず、AMR対策は待ったなしの状況である。

参考文献

1)World Health Organization : Ten threats to global health in 2019. https://www.who.int/news-room/spotlight/ten-threats-to-global-health-in-2019
2)Antimicrobial Resistance Collaborators : Global burden of bacterial antimicrobial resistance in 2019 ; a systematic analysis. Lancet 399(10325) : 629-655, 2022. PMID 35065702
3)O'Neill J (Chair) : Tackling Drug-Resistant Infections Globally ; Final Report and Recommendations. pp 1-84, Review on Antimicrobial Resistance, London, 2016.
4)国際的に脅威となる感染症対策の強化のための国際連携等関係閣僚会議:薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2023-2027).2023. http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/infection/activities/pdf/ap_honbun.pdf
5)Walia K, et al : How can lessons from the COVID-19 pandemic enhance antimicrobial resistance surveillance and stewardship? Lancet Infect Dis 23(8) : e301-e309, 2023. PMID 37290476
6)Estabrook M, et al : Epidemiology of resistance determinants identified in meropenem-nonsusceptible Enterobacterales collected as part of a global surveillance study, 2018 to 2019. Antimicrob Agents Chemother 67(5) : e0140622, 2023. PMID 37074173

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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