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文献詳細

雑誌文献

総合診療33巻12号

2023年12月発行

特集 海の外へ渡る航行者を診る—アウトバウンドにまつわるetc.

【渡航医学トピックス】

❹新興・再興感染症—病歴聴取がカギ! 医療機関での適切な感染対策に留意しよう

著者: 永瀬裕一朗1234 石金正裕1234

所属機関: 1 2 3 4国立国際医療研究センター 国際感染症センター

ページ範囲:P.1456 - P.1458

文献概要

 全米医学アカデミー(National Academy of Medicine:NAM)によると、新興感染症とは、これまで知られていなかったか、既知ではあったが20年間で発生率や地理的範囲が急速に増加しており、コントロールできていない感染症と定義されている1)。具体的には、エボラ出血熱やマールブルグ病などのウイルス性出血熱、後天性免疫不全症候群(acquired immunodeficiency syndrome : AIDS)や新型コロナウイルス感染症などが含まれる。また再興感染症については、公衆衛生対策の変化や病原体の変異などに伴って、かつては抑制されていたものの再び流行してしまった感染症とされ、結核やマラリアなどが挙げられる。
 本稿では、日本で経験する可能性が高い疾患として、新興感染症では重症熱性血小板減少症候群(severe fever with thrombocytopenia syndrome : SFTS)を、再興感染症では麻疹を例に挙げて解説する。

参考文献

1)Institute of Medicine (US) Committee on Emerging Microbial Threats to Health : Emerging infections ; microbial threats to health in the United States. National Academies Press, 1992. PMID 25121245 〈新興感染症についての提言〉
2)Seo JW, et al : Clinical update of severe fever with thrombocytopenia syndrome. Viruses 13(7) : 1213, 2021. PMID 34201811 〈SFTSのレビュー論文。疫学や検査法まで詳しく記載してある〉
3)国立感染症研究所:重症熱性血小板減少症候群(SFTS). https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/sa/sfts.html 〈SFTSの発生状況や疫学情報が記載されている〉
4)加藤康幸:重症熱性血小板減少症症候群(SFTS)診療の手引き,改訂新版.平成30年度厚生労働行政推進調査事業費補助金新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業 一類感染症等の患者発生時に備えた臨床的対応に関する研究,2019. https://dcc.ncgm.go.jp/information/pdf/SFTS_2019.pdf 〈SFTSの診断・治療・院内感染防止対策などの詳細について記載されている〉
5)Moss WJ : Measles. Lancet 390(10111) : 2490-2502, 2017. PMID 28673424 〈麻疹のレビュー論文。Figure 2のワクチン接種率世界地図と,Figure 4の全体像の図が秀逸〉
6)World Health Organization : Disease Outbreak News (DONs). https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news 〈世界におけるアウトブレイク情報が記載されている〉

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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